奨学金の借金返済を無事に済ませる方法/失敗しない借金への対応術

大学や専門学校など、進学を希望する方が利用することの多い「奨学金」に関する基礎知識です。奨学金は進学希望者にとって重要な制度です。しかし、奨学金も借金だということを理解しておく必要があります。知識不足で奨学金を利用すると、後になって予想外の苦労をすることがあります。

 

奨学金の返済が出来なくなって、延滞になったり、破産に至ってしまう方もいます。

これから奨学金を利用する方も、既に奨学金を借入している方にも役立つ・失敗しない借金返済方法を解説します。

 

 

奨学金は借金

奨学金で失敗しないために大切なことの1つ目は「奨学金は借金である」ことの認識を持つことです。

奨学金の借金返済が出来なくなる原因は様々です。しかし、共通して指摘される問題点は「借金」という認識が希薄なことです。

 

本来、お金を借入するには、「借入が過大ではないか」や「その後の返済に無理がないか」といった点を慎重に検討します。しかし、奨学金の場合、借入するのが年齢の若い「学生」であるにも関わらず、借りる側だけでなく、貸す側も簡単に融資を行なってしまうという問題点があります。

 

そのため、「借入」「返済」に対して、深く考えることなく、簡単に借金を負ってしまう傾向にあります。

 

奨学金は「利息が低い(無利子のものもある)」、「就職してからの返済」など、借金としては負担が少ないのが特徴です。また、奨学金を利用してでも、進学した方が将来のためになるという認識を持ちやすいため、学生でも「損する」という危険性が低く、安易に借入をしてしまいがちです。

 

しかし、奨学金は立派な借入・借金であり、利用すれば、将来的に返済義務を負うことを忘れてはいけません。奨学金を借入すれば、数百万円もの借金を背負うこともあります。学生を卒業して、就職してからの返済とは言え、その後、何年もの間、返済する義務を負うということを忘れないようにしましょう。

 

=債務整理専門=

アヴァンス法務事務所

 

借金返済の負担を認識

奨学金を借入する場合、返済開始後に負うことになる「返済額」を理解しておく必要があります。学生を卒業してからと言っても、通常、就職したての新入社員の給料は低く抑えられています。その中で、奨学金の借金返済を行っていくには、計画性が必要です。

 

日本学生支援機構が公表する調査結果によれば、「大学生の2人に1人」が奨学金を借入し、「平均借入額は288万円」であるとのことです。

 

288万円という借入額は、一般的な給与所得者にとっても「かなり大きめの借入」になります。

通常、借金を利用する場合、借入できる限度額は、「年収の3分の1」までに制限されています(総量規制による制限)。そのため、年収が500万円の方であっても、借入できる上限額は160万円程度(≒500万円÷3)になります。それ以上の借入は、過大な借入額として、法律上は規制されています。

 

一方、奨学金では、平均288万円もの金額が借入されています。前述の「年収3分の1」に基づけば、288万円を借り入れできるのは、年収864万円以上(=288万円×3)の方となります。就職してすぐに年収が864万円を超えるという方は少ないでしょう。少なくとも、大卒(新卒)の平均年収は250万円~300万円程度と言われていますので、864万円に比べて、大きな乖離があります。

 

奨学金は10年超となる「長期間」での返済も可能であるため総量規制による「年収3分の1」に完全にあてはめる必要はありません。しかし、一般的な借金と比較して、かなり大きな金額を借入しているということは理解しておいた方が良いでしょう。

 

 

奨学金を滞納しているとどうなる?

奨学金を借入している方、およびこれから借入を考えている方にとって、「奨学金を払えずにいるとどうなるのか?」は気になりますよね。厳しく「催促」されたり、「差し押さえ」されるのではないかと不安に思う方もいるでしょう。

 

催促が行われる

奨学金の督促・催促が比較的「緩い」とは言っても、借金である以上、督促が行われ、回収のための手続きが行われます。延滞開始後間もない場合は、奨学金を貸してくれている先からの「電話」による督促が行われます。

 

債権回収会社に譲渡・委託

奨学金の借入先からの催促・督促が行われてからも延滞の解消ができないまま放置していると、奨学金の権利が債権回収会社に譲渡されたり、回収業務を委託されることもあります。その場合、債権回収に慣れた、プロによる回収が行われます。

 

具体的に言えば、「裁判所」を介して、貸金請求訴訟(支払督促申立書)を起され、その後、保有している財産や、就業先からの給与に対して差押えが行われることもあります。債権回収会社への債権譲渡や、回収の委託は、延滞開始時から、36ヶ月程度で行われる可能性が高いでしょう。そのため、早めに解決するための対応が必要となります。

 

新規借入が困難になる

一般的に借入を行ったにも関わらず、「延滞」が続いた場合や、債務整理などの法的手続きによって、借金の免除をうけると、そのことが「個人信用情報」に掲載されます。

 

個人信用情報とは、各金融機関が相互に借入人の情報を共有するためのサービスです。顧客の借入情報を共有することで、適切な審査を実施し、過大な借入になってしまわないために行われています。そして、個人信用情報に「延滞」・「債務整理」といった情報(これを事故情報などとも呼びます)が掲載されると、それ以降の新規借入は困難になります。

 

奨学金も借入(借金)であり、借金返済を延滞していると、個人信用情報にも登録されることになります。そのため、それ以降の新規借入は出来なくなってしまいます。一度、個人信用情報に登録されると、その後に借金を完済できたとしても、数年間に渡って、個人信用情報に掲載された情報は消えずに残ります。

 

 

連帯保証人に影響がでる

奨学金を借入する時は、「人的保証制度」として、父母などの親が連帯保証人になることが条件になるものもあります。

 

奨学金の返済が出来なくなり、延滞していると、借入人本人だけでなく、連帯保証人である父母に対しても、借金返済の催促が行われることになります。大学などへの進学費用を、父母に頼らないために活用した奨学金で、結果的に父母に請求され、支援を受けていては意味があります。

 

 

奨学金を返済するポイント

借入した奨学金を確実に返済していくためのポイントを解説していきます。借金を確実に返済するためには、知識と準備が必要です。

 

生活設計を考える

学生を卒業して就職すると、「収入」と「支出」をご自身で管理するという方は多いでしょう。収入に応じて、支出の計画を立てることが大切です。

 

住居に対する家賃や、食費、娯楽費(会社での飲み会などもあるでしょう)、被服費などが必要になります。そして、こういった支出項目のなかに、「奨学金の返済」も含めて、支出を見込んでおくことが大切です。特に、借金返済は重要ですから、優先順位の高い返済として、確保しておく必要があります。借金返済を最優先として行う前提で収支計画を立てなければいけません。

 

学生のうちから準備しておく

奨学金の返済は、「学校を卒業してから開始する」ものが多いでしょう。そのため、学生時代のうちは、「借金がある」ことや、将来的に「返済を開始する」ということを忘れてしまいがちです。

 

しかし、卒業まで全く奨学金への返済を考えないのではなく、学生時代から準備しておくことが大切です。学生時代から「無駄遣い」を控え、貯蓄を増やしておいたり、時間的な余裕があるのであれば、アルバイトなどで収入を得て、さらに貯蓄を積み増しておくことも大切です。

卒業後は、奨学金への返済が必要になるということを念頭において、返済するための原資など、準備を行っておく必要があります。

 

 

返済猶予制度を活用

返済準備をしっかりと行っていても、それでも奨学金への返済が難しくなってしまうこともあります。卒業後に上手く就職できなかったり、本人や家族が病気になってしまうということもあるでしょう。

 

そういった時には、「猶予制度」が活用できるということを覚えておくと良いでしょう。

 

猶予制度というのは、一時的に「返済額を軽減(減額)」してもらったり、借金返済を一時保留(ストップ)してもらえる制度です。事情があって返済できない場合には、奨学金の制度として、返済を待ってもらうことができるのです。

 

奨学金の返済画厳しいからと言って放置していると、前述の通り、「延滞」・「滞納」として扱われ、督促されたり、連帯保証人である父母に請求されてしまうことがあります。しかし、猶予制度を活用しておけば、「延滞」・「滞納」にはなりませんので、これらの問題を回避することもできます。

 

具体例として、代表的な奨学金制度である「日本学生支援機構」の場合を紹介します。「日本学生支援機構」では、猶予制度として、「減額返還制度」と、「返還期限猶予制度」の2種類を用意しています。

 

「減額返還制度」は、毎月の返済額を半分に減額して、返済しやすくする制度です。返済額を下げれば、返済が継続できるという方向けの制度になります。「減額返還制度」は、減額の適用を認めてもらうと、1年間減額が適用してもらえます。その後、状況が改善されていなければ、再度申請・延長することも可能です。

 

返済額を減額した分は、返済期間を延長して支払うことになります。返済総額が減額されるわけではありません。

「返還期限猶予制度」は、返済を一時的に停止してもらうことのできる制度です。返還期限猶予制度を適用してもらえば、「停止期間分」、そのまま、返済期間が延長されます。

 

つまり、返済を停止していた期間分、そのまま返済予定が後ろ倒しになるということです。

 

奨学金の返済猶予制度を利用すれば、延滞・滞納することなく、奨学金の返済を継続することができます。特に、一時的な要因になって就業が厳しくなっている方などに適した制度となっています。返済猶予制度では、返済額総額を減らすことはできませんので、あくまでも後日支払う必要があるということを知っておきましょう。

 

 

債務整理を活用

以上のような点を理解、活用しても奨学金の返済が難しいという方は、「債務整理」を検討されてみるのも良いでしょう。債務整理には任意整理、個人再生、自己破産などの手続きがあり、場合によっては、返済できない部分を法的に免除してもらえることもあります。

 

借金問題を、ご自身の収入や、努力だけで解決することが難しくなってしまった場合に、抜本的に解決に取り組む方法として債務整理が用意されています。

 

▼まずは弁護士にご相談

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<関連記事:債務整理とは?>

借金問題で聞く債務整理とはなに?個人でも活用できる?

 

 

債務整理に強い専門家

自己破産などの債務整理は弁護士などの専門家に依頼する方が良いでしょう。たしかに、専門家に依頼するには費用がかかります。しかし、結果的に債務整理が成功する確率が高まるだけでなく、債権者からの直接の連絡がストップされるなど、数多くのメリットがあります。

 

そのため、費用がかかっても専門家に依頼して良かったという事例は少なくありません。

 

以下では、債務整理に特化して経験豊富な弁護士事務所をご紹介いたします。それぞれ、実際の申立てまでの相談は無料で行っていますので、気軽に相談できます

 

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まとめ

大学などへの進学する方のなかには、「奨学金」で学費を用意する方が多くいます。

しかし、奨学金は「大きな金額」の借金であるにも関わらず、比較的容易に借入できてしまうことから、「借金」という意識が薄いままに借入されてしまっているケースが見られます。

 

奨学金は、平均的な借入額でも約288万円にもなる借金であり、慎重に利用する必要があります。さらに、奨学金を利用する場合でも、学生時代からの返済準備や、就職後の収支計画など、返済に向けてしっかりと対応していく必要があります。

 

それでも返済が難しい場合には、奨学金の返済猶予制度を活用するのが良いでしょう。そのうえで、ご自身の努力だけで返済が困難な場合や、改善される見込みが無い場合には、債務整理なども含めて検討されてみるのが良いでしょう。

 

 

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