あこがれの不動産賃貸業に潜む罠!?一括借上げ・家賃保証(サブリース)に隠された危険を解明!!

不動産投資に憧れたことありませんか。不労所得で、安定収入が得られるなんて羨ましい限りです。そんな不動賃貸業で、最も心配なのは、空き室リスクです。
 
銀行からの借入返済は継続しなければならないのに、家賃収入が長く途絶えてしまうのは怖いですよね。
 
そんな賃貸オーナーに、救世主のように現れたのが、一括借上げの家賃保証です。この制度を大歓迎で、オーナーになられた方も多いのではないでしょうか。しかし、一括借上げに頼りきっていると、とても危険なのはご存知でしょうか。
 
最近、一括借上に関する問題は増加しているんです。

 

 

一括借上(サブリース)の仕組み

一括借上は、不動産会社(サブリース会社)が、賃貸用資産(不動産)を丸ごと(一括)して賃借(借り上げ)することです。
そして、不動産会社は、借りた不動産を、別の第三者に転貸します。
 
不動産会社は自己で賃貸不動産を所有せず、他者が所有している賃貸不動産を丸ごと借りて転貸するというのがポイントです。

 
サブリース会社が、賃貸不動産を借りる料金は、満室時の想定賃料の89割になることが多く、この額を不動産所有者に支払います。満室で稼働する優良物件では、一括借上を利用しない場合に比べて、賃料収入が減少してしまいます。
 
所有者は、空室リスクが回避できるというメリットがあります。空室リスクは、不動産オーナーの最大の懸念事項の1つです。

 

 

不動産オーナーは、毎月サブリース会社から、決まった収入を受け取ることが出来ます。本来、不動産投資という、リスクがある運用を、確定利回りに近い内容で資産運用が行えるということになります。

 

 

収入が安定化しますので、銀行借入で不動産を取得した方にとっては、銀行への返済も行いやすくなります。所有者は、不動産会社に任せきりに出来ますので、不動産管理の知識が無くても、困らずに経営が出来ます。
 
一括借上はとても有効なサービスであるという感じがしてきましたよね。一括借上では、長期の借上(30年など)約束してくれる不動産会社もいます。
 
それだけ、長期的に保証してもらえるなら、不安が無いように思われます。
しかし、知らないと危険なことがあるのです。

 

 

家賃保証の契約に隠された危険

一括借上の契約を長期で締結していても、実は安心できないのです。締結時点の家賃を、本当に最後まで、守ってくれるという保証はありません。
 
いくら長期の契約になっていて、途中で家賃を減額出来ないという契約条項があっても、サブリース会社から、賃料減額を求めることは出来るのです。

 

それも、契約後、数年程度という短期間のうちから、あっさりと減額を求められることだってあります。
というよりも、そういった契約を締結するときに、サブリース会社の方では、契約文言を自分達から盛り込んでおきながら、そういった内容が意味のないことを十分に理解しているのです。
 
どうせ、後から家賃の減額を求めることができるので、オーナーが喜んで契約してくれそうな契約にしているのです。契約があるから、家賃の減額を断ることが出来ると軽く考えていたら大間違いです。契約を鵜呑みにしていたら、大変な目にあいます。
 
家賃の減額請求は、例えどんな内容の契約を締結していても、法律で認められてます。合法的に変更を求められると、認めざるを得ない可能性があります。

 

 

一括借上の契約に意味が無い理由

家賃の減額を求められた時に、長期の借上げ契約になっているのに、なぜ減額ができるのかと不思議に思われる方は多いでしょう。
 
また、サブリース業者との契約では、業者側からの賃料減額や、契約解除は申し出ることが出来ないという内容なのにどうしてと思われると思います。
 
一括借上を含め、不動産の賃貸契約では、貸す側より、借りる側が保護されるようになっています。法律の考え方としては、契約当事者が企業か個人かではなく、賃貸人の立場が強く、賃借人は立場弱いという前提に立っています。
 
そのため、不利な契約を押し付けられる可能性のある賃借人を守るための「借地借家法」という法律が存在しています。そして、一括借上において、保護される賃借人とは、サブリース会社になります。

 

 

借地借家法では、立場の弱い賃借人に不利な契約内容は、後から、法律に従った内容に読み替えられてしまうので、どんな契約であっても無効とされてしまいます。
 
そのため、いくら契約で、長期契約を結んでいて、かつ、賃料の減額を求めることが出来ないという内容に縛っていても、さらにサブリース会社の方から提示してきた契約内容であっても、法律にしたがって賃料の減額を求めることができます。
 

 

契約自体を解除されることも

家賃減額を求められた際に、その申し出を断り続けていると、一括借上の契約自体を解除される可能性もあります。
 
賃料設定が、そのエリアの賃貸マーケットの実勢に合っていなければ、賃料の見直しは、法律上認められています。
 
その申し出を断わり続けていると、サブリース会社に、契約解除の口実を与えることになります。長期のサブリース契約を締結していて、契約期間が残っていても、サブリース会社から解除を求めることは出来るのです。
 
つまり、サブリース契約当初に設定する「借上げ金額や、期間」は、オーナーがアパート建設しやすくなるように、敢えて「有利に」見える内容に設定されているだけで、後日、実勢にあった内容に変更を求められたり、契約を解除されるということがあります。

 

 

サブリース契約には意味がない?

サブリース会社は、当然、そんな契約内容に自分達に対する拘束力がないことを知ったうえで、オーナーに有利(に見える)契約を締結しているのです。
 
そのうえで、オーナーを安心させ、アパートを建設させるために、契約を悪用しているのです。契約内容を説明したうえで、「サブリース会社からは変更できない契約になっていますから安心してください」と、説明してくるサブリース会社は、既に悪質ですので注意する必要があります。
 

賃貸人からの契約解除は難しい

逆に、空室となることが少ない、稼働率の高い優良なアパートであった場合、正直、家賃保証をしてもらう必要はありません。満室で稼働しているアパートであれば、賃料の1~2割を、サブリース業者が取っていってしまうのは、もったいないですよね。
 
家賃保証を外した方が、収入が増えると期待できます。
こういったケースで、サブリース会社に、契約解除を申し出ても、簡単に契約を解除できないことがあります。前述の借地借家法には、立場の弱い賃借人を保護する内容が盛り込まれています。
 
賃貸人から一方的に、契約を解除できると、賃借人が追い出されしまい、生活に困ります。契約の内容に関わらず、法律は賃借人を守るようになっています。
そのため、実際には、契約解除が出来なかったり、契約解除にあたって、「違約金・退去料」として、金銭を求められるといったこともあります。

 

 

一括借上を餌にしたアパート建設に注意

アパート建設を提案する建設会社などで、一括借上をセットにして、提案してくる不動産業者は要注意です。アパートオーナーは、一括借上してもらえたら、失敗の危険性は全て移転したように思っているかもしれません。
 
この提案は、アパートオーナ(候補)を騙そうとしているかもしれません。

 

 

一括借上げはアパートを建設の餌

重要なのは、建設会社は、売上高を拡大させる手段として、「アパート建設」を推進するために一括借上げという制度を作ったのです。
こういった制度が無かった時は、素人にもっと建設してもらいたいけど、みんな慎重に判断するので受注が得られなかったのです。
 
そういった、オーナーの背中を押すために、一括借上げが始まりました。不動産業者は、ただ、アパートやマンションを、オーナーに建設させることが目的です。
 
アパート建設をいくら提案しても、素人が、簡単に「はい。建設します」とはなりません。そのため、一括借上を使います。建設後は、「サブリース会社が長期的に一括借上げするので、収入が確定します。なんの不安もありません」、「収支が確定するので銀行の定期と同じだし、利回りが良い」と言うと、投資して問題ないような気がしてきます。
 
一括借上によって、アパート経営を始める方の、ハードルは、低くなりました。
近年では、賃料収入が確定し、安全だと判断して、目一杯借入を利用した賃貸不動産を行う方も増加しています。

 

 

アパート経営に向かない地域に建てる!?

一括借上が危険な例として、建設後の収支計画、投資を始めるにあたっての調査、分析が、いい加減になってしまう事例が見られます。
 
通常、アパート経営を始めるには、その地域の賃料相場や、賃貸需要を綿密に調査しておく必要があります。しかし、一括借上げを頼りにすることで、そういった調査は不要と考えて、アパート経営が始める方が増加しているのです。
 
オーナーの立場からすると、どうせ一括借上げで借りてもらうし、サブリース会社が借上げを承諾したのだから、間違い無いと勘違いしてしまうのです。建設を勧める不動産会社も、そのように提案し、誤解するように誘導します。
 
そうすることで、本来であれば、賃貸需要が少なく、アパートを建てないようなエリアにも、アパートを建設するという需要を、不動産業者は作りあげています。
建設会社は、賃貸経営が失敗しようが、どうなろうが知ったことではありません。
建設さえしてくれれば、それで良いのです。
 
不動産会社にとって、一括借上げという制度は、慎重な投資家の背中を押す武器にもなりますし、どんな地域でも、アパートを建設することができるようにする魔法のような役割を果たすのです。
 

サブリース会社と建設会社は「共犯」!?

知っておくべき「からくり」があります。不動産の建設業者と、一括借上を行うサブリース会社は、提携していたり、同じ企業内であったりと、協力関係です。
 
それは、一括借上だけでは、商売として成り立っていないものも多いからです。
それにも関わらず、アパート建設と一緒に行うと儲かることになるのです。
それは、アパートの建設自体が、大きな利益を生むためです。
 
建設業者は、一括借上げの制度によって、本来、アパート建設需要を生み出すことができ、多額の利益を得ることができるようになりました。時には、有利な一括借上が紹介できるからとか、一括借上げしてもらうために、サブリース会社の基準を満たすように建物のグレードを高めないといけないなどと言って、高めの建設費を徴収することもあります。

 

 

オーナーも、その後の借上げによる金額が確定していますから、多少建設費が高くなっても、支払って良いという気になります。つまり、「一括借上げ」という要素があるだけで、多額の建設費と利益が得られるようになるのです。
 
そして、建設会社から、サブリース会社に、手数料が流れることもあります。
サブリース会社は、一括借上げの契約では採算に合わないと解っていても、建設業者から手数料がもらえるので、「一旦」、一括借上げ契約をします。

 

 

そして、一定期間がたつと、オーナーに、実情に見合った賃料相場へ、変更を求めます。時には、大幅な賃料相場の減額ともなります。サブリース会社は、もともと、建設業者からの手数料を目的にしていますので、オーナーとの契約はおまけにすぎません。
 
目一杯、賃料の減額を求め、オーナーが拒否するようなら、早々にサブリース契約を解除してしまいます。
 

サブリースの提案に注意

 

 

一括借上はサブリース会社に有利

一括借上は、サブリース会社に有利に出来ています。というよりも、そのようにサブリース会社が法律を悪用して、作っているのです。
サブリース会社との契約において、オーナーが「得をする」ということは正直考えられません。
 
そもそも、サブリース会社も商売として行っているので、自分達が貸すことのできる金額を超えて、オーナーに支払うなんてこと、あるはずがありませんよね。
 
サブリース会社の受け取る賃料から、管理にかかる手数料と、利益を差し引いた額が、オーナーに回るというのが、当然の姿でしょう。
 
サブリース業者は、契約締結時は、自分達に不利な内容であっても問題ありません。オーナーが安心して、アパートを建設しようと思える内容を盛り込んでおきます。しかし、数年の期間を置いた後で、契約を無視して適正な水準に戻します。法律が自分達を守ってくれます。
 
サブリース会社からしてみれば、一括借上げで収支がマイナスなら、賃料減額か契約解除、収支がプラスなら、そのままで契約を続行という、非常に有利な選択権を持っています。

 

 

一括借上頼みの不動産投資はNG!!

オーナーが、悪質業者に手玉に取られずに、不動産投資を行うにはどうしたら良いでしょうか。それは、一括借上に依存した不動産投資をしないことです。
そもそも、一括借上げを利用しなくてやっていけるアパートでなければ、賃貸経営は成り立ちません。
 
賃貸経営を始めるにあたっては、物件の地域性や、潜在的な入居希望者の存在など、アパートの賃貸需要をしっかりと調査するのは最低条件です。
一括借上してもらうから大丈夫という根拠で、アパート建設を勧めるような不動産業者は、その時点で悪質です。こういった不動産会社を選んではいけません。
 
アパート経営を始めるにあたっては、最低以下の点を、考慮しておくべきです。
①アパート経営に適するかどうかの市場性
②修繕計画や、空室となる期間も考慮した収支計画
③銀行借入の返済を考慮した資金計画
③借入に依存しすぎない不動産投資

 

 

まとめ

一括借上が、アパートの入居状況が悪くても、サブリース会社が賃料を保証し続けてくれるお得な制度と思ってはいけません。冷静になって、よく考えて下さい。そんな話があるはずないですよね。

 
サブリース会社は民間企業で、ボランティアをしている訳ではありません。
そして、不動産業界の専門家です。損をするような取引をするはずがありませんよね。一番重要なことは、オーナーがしっかりと不動産賃貸のことを理解して取り組めば、回避できる問題であるということです。
 
不動産業者の言うことを鵜呑みにせず、ご自身の目で見て、判断しましょう。

 

 

 

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