住宅ローンで特に重要な計算方法や計算式を解説

現在持家だけど買い替えたい、親族のための住居を購入したい、1件を賃貸に出すために2件目の家が欲しいなど、2件目の住宅ローンを組むことを希望される方がいます。

そもそも、住宅ローンを複数借入することはできるのでしょうか。

2本目の住宅ローンのことをダブルローンとかセカンドハウスローンと呼ぶこともありますが、住宅ローンのダブルローンを利用するためには様々な条件や審査基準があります。

今回は実際にダブルローンを利用したことのある経験者が、複数の銀行担当者へのヒアリングも行ったうえで、ダブルローンを利用するための条件や注意点を解説します。

今回ご紹介する内容

  • 住宅ローンのダブルローン・セカンドローンとは?
  • 住宅ローンを2本借入することはできるのか?
  • セカンドローンの審査に通る方法

 

住宅ローンのダブルローンとは?

2件目の住宅ローンのことをダブルローンと呼びます。

また、本来の住居に加えて、2つ目の家を購入する目的でダブルローンを利用することもあるでしょう。

例えば、両親や子女が居住するための家や、別荘といった使い途が考えられますが、こういった2件目の住宅のことをセカンドハウスと呼びます。

そのため、2件目の住宅を購入するための住宅ローンということで、「セカンドハウスローン」と呼ぶこともあります。

 

ダブルローンとセカンドハウスローンは非常に良く似た意味で用いられていますが、正確には多少違っており、ダブルローンの方が少し大きな意味で使われます。

例えば、住み替えや買い替えの際に、旧住宅を売却したが住宅ローンを完済できず残ってしまった場合や、現在の住宅を賃貸に出して、新たに居住用の住宅を購入する場合でも、同時に2件の住宅ローンを利用する場合にはダブルローンとなります。

 

一方、セカンドハウスローンは、住居を2件保有する場合に使用されるローンです。

そのため、既に売却済みの住宅や、賃貸に出している住宅はご自身の居住用ではありませんので、こういった時に使用する住宅ローンはセカンドハウスローンと呼ばないのが通常です。

今回はより広義の意味で、住宅ローンを同時に2件以上の金融機関から借入することが出来るのかという意味で、「ダブルローン」を中心として解説することにします。

 

住宅ローンのダブルローンは借入できる!

結論から言えば、住宅ローンをダブルローンで借入することは可能です。

但し、銀行の審査などの要件もあるため、比較的利用が難しいものではあります。

 

一般的に、銀行の住宅ローン担当者などに相談しても、「ダブルローン」は難しいという意見が多いでしょう。

単純に考えても、1件の住宅ローンを借りるのも簡単ではありませんが、それが2本で倍になるわけですから難しさは想像がつくでしょう。

その分、返済負担も重くなってしまいます。

 

しかし、要件を満たせば、ダブルローンを借入することは可能です。

銀行によっては「セカンドハウスローン」という名称で、2件目の住宅を購入するためのローン商品を用意していることもあります。

ダブルローンの借入を希望している方は、利用できるための条件を充足するための準備が大切です。以下では、ダブルローンの条件を確認してみましょう。

セカンドローンやダブルローンの概要を確認する

ダブルローンを借入できる条件は?

ダブルローンを借入するためには、銀行の審査に通過する必要があります。銀行の審査に通過するためには、一般的な住宅ローンの審査基準に加えて、以下のような注意点を満たす必要があります。

 

返済能力が認められること

通常の住宅ローンの場合、「返済負担率」という指標によって住宅ローンに対する返済能力は審査されます。

この返済負担率というのは、借入に対する返済額が年収の何割を占めるかを指す指標であり、以下の式で計算されます。

 

返済負担率の計算式

返済負担率(%)=年間返済額÷年収

 

一般的な銀行の基準として、返済負担率は35%が上限であり、年収が500万円の方であれば、175万円(=年収500万円×35%)が年間返済額の上限となります。

ダブルローンで注意したいのは、この年間返済額に既存の住宅ローンの返済額が含まれるということです。

 

仮に、1件目の住宅ローンに対する返済額が年間120万円(10万円×12ヶ月)であるとします。

この時、ダブルローンとして、2件目の住宅ローンの返済に充てられる金額は55万円(=175万円‐120万円)までということになります。

1件だけでなく、2件目の住宅ローンの返済額を合わせて、返済負担率の基準以内になる必要があるというのが、ダブルローンの借入が難しい最大の要因と言っても良いでしょう。

そのため、ダブルローンを借入できるのは、ある程度の収入がある方に限定されてしまいます。

 

投資用物件の購入は不可

一般的に投資用物件というのは、他人に賃貸して賃料をもらうための住宅を意味します。

住宅ローンは銀行から個人が借入できる融資のなかでも極めて金利が低い商品です。

 

そのため、住宅ローンで購入した物件を、投資用物件として、他人に賃貸したいと思われる方もいるでしょう。

しかし、本来、住宅ローンや、セカンドハウスローンは、住宅ローンの利用者や、その親族が利用するための住宅を購入するための借入です

第3者に賃貸するなど、本人居住用以外の使用用途を認めていません。

 

そのため、ダブルローンであっても、セカンドハウスローンであっても、投資用(=賃貸として利用)物件の購入は認めていません。

仮に、住宅ローンのダブルローンを相談する銀行に対して、賃貸用物件を購入するためと相談すると、その時点で受付してもらえなくなることもあります。

 

もし、賃貸用物件の購入をローンで借入したいと希望する場合、銀行やノンバンクが行っている「アパートローン」や「賃貸物件用ローン」を利用する必要があります。

アパートローンなどは、住宅ローンに比べて金利が高いうえで、事業性を評価されて借入することとなるため、審査基準も厳しくなります。

通常の住宅ローンやダブルローンのように、ご本人の年収などをもとに審査するだけでは借入することができません。

 

一時的なダブルローン

なお、一部の銀行では、「住み替え」、「買い替え」を目的としている場合、1件目の住宅が売却されるまでの期間、前述の返済負担率が許容範囲を超えていても、許容して融資してくれるという銀行もあります。

こういった銀行の場合、1件目の住宅を遅滞なく売却に出し、売れた場合には、売却代金を1件目の住宅ローンの返済に充てることを条件として、一時的なダブルローンになることを認めるという条件が付きます。

 

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同じ銀行は原則不可

大部分の銀行において、住宅ローンは1人1件のみというルールがあります。

そのため、2件目の住宅ローンを希望する場合、1件目の住宅ローンを借入している銀行とは別の銀行で相談するのが良いでしょう。

 

なかには、「セカンドハウスローン」を積極的に融資しており、2件目も受け付けするという銀行もありますが、相談内容によっては、2件目の審査に通らずに借入できないだけでなく、1件目の住宅ローンに悪影響が出る可能性もあります。

 

例えば、1件目の住宅ローンで購入した物件を賃貸に出していることが判明した場合、一括返済を求められたり、金利の高いアパートローンに変更されることもあります。

住宅ローンのダブルローンを希望するのではあれば、1件目とは違う銀行で相談されるのが良いでしょう。

 

ローンで購入した住宅を賃貸に出せる?

前述の通り、ダブルローンやセカンドハウスローンを借入する場合、購入する住宅が賃貸目的であれば借入できません。

住宅ローンはあくまで本人居住用の住宅を購入するための借入に限定されています。

 

それでは、既に住宅ローンで購入している住宅を賃貸に供して、あらたにダブルローンで購入する物件に居住するということは可能でしょうか。

こちらは原則可能ですが、あまり推奨できる方法ではありません。

また、1件目の住宅ローン借入先とトラブルになる可能性もあります。

 

2件目の住宅ローン借入先では、あくまでも「2件目の住宅の利用目的」が重視されるため、仮に1件目が賃貸に出されていたとしても、特に問題にはならないでしょう。

そのため、1件目の住宅ローン対象物件が賃貸に使われていても、2件目の住宅ローンを借入することができます。

しかし、1件目の住宅ローンを借入している銀行に、賃貸として利用していることがばれた時に問題が起こります。

 

この場合、資金使途違反として一括返済を求められたり、アパートローンへの変更を求められ、適用金利が上昇する可能性があります。

但し、銀行も数ある住宅ローンの融資先に対して、利用状況を個別に確認しているわけではありません。

そのため、返済が滞るなどの問題が生じない限り、大きな問題になるケースは少ないとも言えます。

住宅ローンで購入した住宅を賃貸に出しても良いのか?

ダブルローンの注意点

次に、銀行の住宅ローン審査に通過して、無事に借入はできたという場合に、注意したいポイントを確認しておきましょう。

 

返済負担に注意

ダブルローンとなると、単純に考えて、住宅ローンの返済額は1件だけ借入している場合の2倍になります。

そのため、住宅ローンを1件だけ借入していた場合に比べて、住宅ローンの返済負担も重くなり、生活費の余力が少なくなることに注意が必要です。

 

もし、住み替え、買い替えなどで、1件目の住宅を売却することを前提にしている場合、1件目の売却に思ったよりも時間がかかってしまうという懸念もあります。

売却が完了するまで、2件分の住宅ローンに対して、毎月返済を行うことが本当に可能であるかを考えておく必要があります。

資金に困ってしまい、1件目の住宅を大幅に値引きして、急いで売却せざるを得ないといったことも多くありますので注意しましょう。

 

ダブルローンが利用されるケース

ここでは、住宅ローンのダブルローンが利用されることの多い「良くあるモデルケース」をご紹介しましょう。

こういったケースに該当する方は、銀行でも相談されるケースが多いため、比較的審査に通りやすいとも言えるでしょう。

 

住み替え目的のダブルローン

やはり、もっともダブルローンの利用が多いケースは住宅の住み替えでしょう。

子供ができたり、両親と同居するなどの目的で、現在の住宅よりも広い家が必要になることもあります。また、長く住んでいた物件が老朽化したため、新しい家に住み替えたいという希望もあるでしょう。

 

住み替え、買い替えを目的としたダブルローンは比較的多いケースとも言えます。

住み替え、買い替えを目的とする場合、1件目の住宅は転居後に売却されるのが通常です。

そのため、売却までの期間限定でダブルローンを銀行に許容してもらうことになります。銀行によっては、1件目の住宅を売却後、完済できずに残ってしまった住宅ローンを含めて、2件目の住宅ローンを融資してくれることもあります。

 

住み替え目的の場合、ダブルローンを借入する銀行と条件を決めることになります。

例えば、住宅ローン借入時点で不動産会社を経由して1件目の住宅を売却に入っていることや、半年以内に売却を完了させることなどです。

基本的には、売却条件付きでダブルローンを借入することになりますので、途中で1件目の住宅を売却ではなく、賃貸として利用するといった変更は認められません。

 

親族居住用の住居購入

次に多く見られるのが親族居住用の住宅購入や、別荘購入資金としてダブルローンを借入するケースです。

本人が居住するためのメインとなる住居は残したままで、2つ目の住宅購入を目的とするのが特徴であり、セカンドハウスローンと呼ばれるものが対象になります。

銀行の考え方として、セカンドハウスローンは「贅沢品」に該当する資金使途になります。

 

そのため、借入している人の収入が低下した場合、住宅ローンよりも先に支払いが止められてしまうことの多いローンであり、銀行にとってリスクの高い融資になります。

そのため、セカンドハウスローンは住宅ローンよりも金利設定が高くなることがあります。

 

または、住宅ローンのように金利優遇が無く、店頭表示金利でしか借入できないという銀行もあります。

セカンドハウスローンは贅沢品として見られやすいため、審査も比較的厳しくなります。

 

ダブルローンに適した住宅ローン

ダブルローンを利用する場合、返済負担が重くなってしまいますので「金利が低い」住宅ローンを利用することが大切です。

また、銀行のなかには、そもそもダブルローン自体を許容しない銀行もあるため、相談する住宅ローンを選ぶ必要があります。

以下では、金利が低く、ダブルローンの借入が可能は銀行・住宅ローンをご紹介します。2件目の住宅ローンを検討中であれば、是非、参考としてご活用ください。

 

三菱UFJ銀行(ネット専用)

 

三菱UFJ銀行住宅ローン
4.95




☆三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローン
☆13年連続で日本で最も利用されている住宅ローン
☆変動金利 0.475%(2022年1月現在)
☆3年固定金利 0.34%、10年固定金利0.74%(2021年4月現在)
☆申込手続きなどはネットで完結
☆7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus>も利用できます

借入可能額(最大)

1億円

適用金利・手数料など

変動金利 0.475%、3年固定金利 0.39%、10年固定金利0.74%(2022年1月現在)

その他優遇など

7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus>

 

住信SBIネット銀行

 

住信SBIネット銀行
4.98

★住信SBIネット銀行の住宅ローン
★業界トップクラスの低金利
★新規購入時の通期変動金利は0.32%(2023年5月現在)
★全疾病保障保険の特約を無料で利用できる

借入可能額(最大)

1億円

適用金利・手数料など

変動金利0.32%(借り換え時 0.299%) ※所定の条件を満たした場合の通期変動金利となります※掲載金利は最大金利引下げ幅時の適用金利です。審査結果によっては、表示金利に年0.1%上乗せとなる場合があります。

所要時間

申込から融資実行まで1ヶ月程度

その他優遇など

全疾病保障特約を無料で付加、一部繰上げ返済手数料無料

 

SBIマネープラザ

 

SBIマネープラザ
4.9

SBIマネープラザ

★SBIマネープラザの住宅ローンサービス
★完全予約制ですのでまずはご予約ください
★ネット銀行の低金利を対面相談で利用可能
住信SBIネット銀行と同水準の低金利
全疾病保障特約を無料で利用できる

借入可能額(最大)

2億円

適用金利・手数料など

変動金利 0.41%、10年固定金利 0.53% (2021年7月時点)

所要時間

申込から融資実行まで1ヶ月程度

その他優遇など

団信・全疾病保障付(金利上乗せなし)

 

フラット35(住信SBIネット銀行)

 

住信SBI フラット35
4.8

☆フラット35なら金利がお得な住信SBIネット銀行
☆長期固定金利で安心して借入できる
☆団信加入は任意で選択可能
☆審査規準が解りやすく利用しやすいのも特徴

借入可能額(最大)

8,000万円

適用金利・手数料など

35年間固定金利 1.5%(2023年6月現在・保証型:自己資金10%以上)

その他優遇など

借入期間を通して固定金利

 

ダブルローンの1本化はできる?

2本目の住宅ローンをダブルローンやセカンドハウスローンとして借入する場合、1本目の住宅ローンに比べて金利が高く設定されることがあります。

銀行にとっても、ダブルローンやセカンドハウスローンはリスクが高くなってしまうため、通常の住宅ローンと金利設定を変えている場合が多いのです。

そうなると、1件目と2件目の住宅ローンをまとめてしまって、1件の住宅ローンで借り換えて金利を低下させられないかと相談されることがあります。

ダブルローンやセカンドハウスローンを1まとめにしてしまうことは可能なのでしょうか。

 

残念ながら、ダブルローンやセカンドハウスローンを、1件目の住宅ローンでまとめてしまうことはできません。

ダブルローンや、セカンドハウスローンというのは、銀行でもリスクが高くなってしまう融資のため、通常、1件目の住宅ローンとは区別して管理したい融資になります。

また、リスクが高いため、通常の住宅ローンよりも高めの金利を得ないと割に合わない融資ともなってしまいます。

そのため、1件の住宅ローンで1つにまとめてしまうということは原則できません。

ダブルローンを一本化することは難しい

2件目も住宅ローン控除を利用できる?

住宅ローンを利用する際に重要なものの1つが「住宅ローン控除」や「住宅ローン減税」と言われるものです。

各年度末の住宅ローン残高に応じて、最大で40万円×10年間の税金還付を受けることができます。

 

しかしながら、セカンドハウスを対象として住宅ローン控除を受けることはできません。

住宅ローン控除を受けるための要件として、「新築又は取得の日から6ヶ月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること」が設けられています。

 

つまり、住宅ローン控除を受けられる住宅とは、取得(新築)から6ヶ月以内に本人が居住して、継続して居住している必要がありますので、セカンドハウスのように本人が居住していない住宅は対象になりません。

 

そもそも、「居住している」ことが条件になりますので、1人1住居しか住宅控除の対象にはならないのです。

仮に、ダブルローンで購入した物件をメインの住居として6ヶ月以内に居住したうえで住民票も移動し、継続して住み続ける場合、住宅ローン控除の対象となりますが、1件目の住宅ローンは逆に対象外となります。

この時、1件目の住宅ローンは、「継続して居住し続ける」という要件に当てはまらなくなるため、後から、再度1件目の住宅ローンで控除を受けるというように戻すことも出来なくなります。

 

まとめ

2つめの住宅ローンのことをダブルローンやセカンドハウスローンと呼びます。

ダブルローンやセカンドハウスローンは審査が厳しくなってしまいますが、借入することは可能です。つまり、1人で住宅ローンを2本借入することも可能なのです。

 

但し、住宅ローンのダブルローンは、返済能力や、購入する住宅の利用目的などが審査で確認されます。

厳しく返済可否が分析されますので、ご自身に無理のない住宅購入であることを示す必要があります。

返済能力に懸念を持たれると、2本の住宅ローンを借入することは難しくなります。

 

また、ダブルローンを利用して投資用物件を購入することはできません。

原則、2本目であっても、住宅ローンはご自身や親族が居住するための住宅購入に資金使途が限定されますので注意が必要です。

 

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