令和二年度「小規模事業者持続化補助金」の完全ガイド/中小企業経営者に知っておきたいポイント解説

個人事業主・中小企業事業者にとって是非活用したいのが「補助金・助成金」です。助成金・補助金は、返済義務もありませんので、交付を受けることができれば、経営に有効活用できる資金となります。

そんな助成金・補助金のなかでも、比較的、申請手続きが簡単で、利用しやすいと言われるのが「小規模事業者持続化補助金」です。小規模事業者持続化補助金の平成29年度(2018年3月)募集開始分がスタートしています。

 

「小規模企業持続化補助金」の補助金の概要から、申請方法、審査のポイントなど、申請を考える方に必要な情報を取り上げます。

 

 

小規模企業持続化補助金とは?


最初に、小規模企業持続化補助金の概要からご紹介しておきましょう。

小規模企業持続化補助金とは、小規模事業者(商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律に基づく/詳細は後述します)に対し、販路開拓などの取り組みを対象として、原則50万円を上限として補助金を交付してくれる制度です。

 

以降、小規模企業持続化補助金の詳細を説明しましょう。

 

 

補助金の申請期間

平成30年3月9日(金)~平成30年5月18日(金)【当日消印有効】

今回が平成29年度の助成金募集事業となります。

 

 

補助金額(上限)

補助上限額は50万円(補助率は3分の2/75万円の費用支出時に50万円の補助金交付)

 

但し、以下の場合に該当すれば補助上限額は100万円に拡大します。

①従業員の賃金を引き上げる取り組みを行う

②買い物弱者対策を行う

③海外展開の取り組み

 

 

補助金の交付時期

補助金が実際に受け取れるのは、経営計画に基づく事業を実施したうえで、実施完了後の報告を行ってからとなります。そのため、経費の支出時は自己資金による支払いとなります。

自己資金が無い方は、銀行融資などによる「つなぎ」が必要となります。

 

 

補助対象者

小規模事業者(商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律に基づく)

 

<小規模事業者の基準>

業種基準
卸売業・小売業常時使用する従業員の数5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業以外)常時使用する従業員の数5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業常時使用する従業員の数20人以下
製造業その他常時使用する従業員の数20人以下

 

小規模事業者であっても、補助金の対象とならない方が定められています。以下の対象、対象外の基準を確認しておきましょう。

 

<補助対象者の範囲>

補助対象となりうる者補助対象にならない者
・会社および会社に準ずる営利法人
(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合・協業組合)
・個人事業主
・医師
・歯科医師
・助産師
・組合(企業組合・協業組合を除く)
・一般社団法人、公益社団法人
・一般財団法人、公益財団法人
・医療法人
・宗教法人
・NPO法人
・学校法人
・農事組合法人
・社会福祉法人
・申請時点で事業を行っていない創業予定者
・任意団体  等

 

 

商工会・商工会議所の支援

小規模企業持続化補助金は、前述の通り「小規模事業者」が対象となりますが、小規模事業者であれば、全ての方が対象になるというわけではありません。「小規模事業持続化補助金」を申請するためには、「経営計画書」を作成したうえで、「地域の商工会、もしくは商工会議所の確認」を受けることが必須条件となります。

 

商工会、商工会議所の助言、指導を受けたうえで作成した経営計画に基づいて、経営計画を履行するために支出する費用が小規模事業持続化補助金の対象となります。

 

 

補助対象事業

小規模企業持続化補助金の対象となる事業は、「地道な販路開拓」などの取り組みです。

また、「地道な販路開拓」とあわせて行う場合は、業務効率化(生産性向上)のための取り組みも補助金の対象に含めることができます。業務効率化だけを行う場合は対象と出来ず、「地道な販路開拓」とあわせて行う取り組みである必要があります。

 

なお、小規模企業持続化補助金は商工会議所や商工会の支援を受けながら、経営計画を作成し、実施する必要があります。経営計画に基づいて行う販路開拓、及び業務効率化が補助金の対象なります。

 

なお、地道な販路開拓や、業務効率化と言われても、どういったものが補助金の対象になるのか解り辛いですよね。補助金の対象になる取り組みの一例を記載しておきますので、参考にされてみて下さい。

 

<地道な販路開拓の例>

  • 新商品を陳列するための棚の購入
  • 新たな販促用のチラシの作成・送付
  • 販促用PR(マスコミ媒体、ウェブサイトなどでの広告)
  • 販促品の調達、配布
  • ネット販売システムの構築
  • 国内外の展示会、見本市への出店、商談会への参加
  • 新商品の開発費用
  • 新商品の開発に必要な図書の購入
  • 新たな販促用チラシのポスティング
  • 国内外での商品PRイベント会場の賃借料
  • ブランディングの専門家から新商品開発に関する指導・助言
  • (買物弱者対策事業において)移動販売、出張販売に必要な車両の購入
  • 新商品開発に伴う成分分析の依頼費用
  • 店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。)

 ※「不動産の購入・取得」に該当するものは不可。

 

メインとなるテーマは「販路開拓」です。そのための目的であれば、設備の購入から広告宣伝、開発費、研究費(資料の購入)、専門家への謝金なども対象となります。比較的広めに使えると考えて良いでしょう。

 

<業務効率化/生産性向上の例>

  • 専門家からの業務改善の指導、助言による長時間労働の削減
  • 従業員の作業導線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装
  • 新たに倉庫管理システムのソフトウェアを購入し、配送業務を効率化
  • 新たに労務管理システムのソフトウェアを購入し、人事・給与管理業務を効率化
  • 新たにPOSレジソフトウェアを購入し、売上管理業務を効率化
  • 新たに経理・会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化

 

業務効率化のために機械や、ソフトウェアを導入したいと考えている経営者は多いでしょう。古くなってしまったシステムや、会計ソフトの交換なども考えられます。こういった業務効率化に使えるのが特徴です。

 

 

事業の目的


ここまで読んでいただいて「対象になりそう」、もしくは毎年実施されている補助金ですので、そのうち考えたい、だれかに教えてあげたいと感じていただいた方に、遅れながら「事業の目的」を説明しておきましょう。補助金ですので、「なんのために」実施されているのかという事業目的は大切です。

 

補助金を申請される方にとって、「事業の目的まで理解するのは面倒」と思われがちです。

しかし、申請時に「何をアピールすれば審査に通りやすくなるのか?」のヒントともなる部分です。理解しておいた方が、採択される可能性は高くなります。

小規模企業持続化補助金の公募要領を見ると以下のように記載します。簡単に眺めてみて下さい。

 

 

【小規模持続化補助金の公募要領/引用】
わが国の小規模事業者のほとんどは経営資源が不足していることから、全国にネットワー クを持ち、地域に密着している商工会議所を活用しながら、人口減少や高齢化などによる地 域の需要の変化に応じた持続的な経営に向けた取り組みを支援し、地域の原動力となる小規 模事業者の活性化を図ります。
 
本補助金事業は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者の地道な販路開 拓等の取り組み(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向 けた商品の改良・開発等)や、地道な販路開拓等とあわせて行う業務効率化(生産性向上) の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
 
また、今回の公募にあたっては、小規模事業者の円滑な事業承継を進めていただく政策上 の観点から、代表者が高齢(60 歳以上)の事業者における事業承継に向けた取組の促進や、後継者候補が積極的に補助事業に取り組む事業者、経営計画の一環として「事業承継計画」 を作成する事業者への重点的な支援を図ります。
 
さらに、生産性向上のための設備投資に向けた取組を行う事業者や、過疎地域という極めて厳しい経営環境の中で販路開拓に取り組む事業者についても、重点的な支援を図ります。

 

 

簡単に言えば、経営資源の乏しい「小規模事業者」の経営を強化するために、「商工会」「商工会議所」の経営指導を受けてもらい、さらに補助金で支援しますということです。

 

この点から言えば、「小規模事業者」の多くが補助金の対象となることができますので、積極的に活用すべき補助金と言えます。「地道な販路開拓」は、通常の多くの小規模事業者が同じく取り組んでいるテーマですよね。同じように取り組んでいるのであれば、補助金をもらった方が得です。

 

 

小規模企業持続化補助金を得るために、実際に必要となる手続きの流れを説明していきましょう。

 

申請までの流れ


小規模企業持続化補助金の申請から採択に至るまでの流れを記載すると以下の通りになります。

 

①経営計画書・補助事業計画書の作成

②地域の商工会、商工会議所に①を提出。事業支援計画書の作成・交付を依頼

③全国商工会連合会・日本商工会議所へ申請書類を送付

④審査/採択結果受領

⑤補助対象となる事業の実施/経費支払

 

なお、申請書類の作成(特に、経営計画書の作成など)は、商工会・商工会議所の指導、助言を受けることができます。むしろ、補助金の目的から言えば、指導・助言を受けながら、経営計画を作成するのが、小規模事業持続化補助金の目的です。

 

そのため、独自に経営計画を完成させてから連絡するのではなく、先に「商工会」「商工会議所」に連絡して、相談しながら、経営計画を作成していくのが良いでしょう。

 

 

採択されるポイント


小規模企業持続化補助金は比較的手続きが容易で、採択されやすい補助金と言われています。

しかし、だからと言って、申請した小規模事業者の全てが採択されるものではなく、全体の半数程度が採択されれば良いものと言えるでしょう。せっかくの補助金ですので、確実に採択され、補助金をもらいたいですよね。

 

確実に採択してもらうためには、ポイントを押さえて、しっかりと事前準備しておくことが大切です。そのためのポイントについて説明します。

 

 

経営計画書を作るコツ


小規模企業持続化補助金で採択され、補助金を受け取るためのポイントは「経営計画」、「補助事業計画書」の出来にあります。

 

小規模企業持続化補助金は、作成した経営計画書や、補助事業計画書に基づいた活動を実施して、そのための経費に対して補助金が支給されることになります。経営計画書、補助事業計画書の内容で審査され、補助金が受けられるかどうかが変わってきます。

 

こまかなポイントは後述するとして、以下の3つのポイントを意識して作成する必要があります。

①解りやすい内容になっている

②目的、必要性が明確である

③経営計画は実現できる内容である

 

 

①解りやすい内容

経営計画書、補助事業計画書では、自社の事業やサービスの説明、市場の状況、競合他社との差別化などを整理して、自社として取り組むべき方針を記載します。

 

自社の現況や考え方を解りやすくつたえ、理解してもらうことが非常に重要です。必要があれば、根拠となる情報や、データを盛り込む必要もあります。さらに、同じ情報であっても、解りやすい表現や、美しく整理された資料で見せることが大切です。

 

いくら努力して作り込んだ内容であっても、相手に理解されず、伝わらない資料であれば意味がありません。しっかりと相手に伝えることを意識して作成しましょう。

 

 

②目的・必要性

経営計画書、補助事業計画書においては、様々な施策や取り組みを記載することになり、その取り組みに補助金を活用することになります。

 

その取り組みがなぜ必要なのか、どういった効果が期待されるのかを説明する必要があります。目的や、効果があいまいな事業計画は、せっかく補助金が交付されても無駄になってしまう可能性があります。補助金を実施する側としても、せっかくの補助金ですので、より効果が期待される事業を選びたいと考えられています。

 

 

③経営計画の実現可能性

個別の施策や、事業だけでなく、経営計画書には会社・法人・個人の収支計画などを記載する必要があります。補助金の交付を受け、施策に取り組むことで、収支計画がどうなるのかを記載する必要があります。効果としては、売上の増加や、費用の削減が見込まれますが、合理的に見積もった、実現可能な内容で作成することが大切です。

 

 

事業目的を理解する


補助金の審査においては、補助事業の目的に照らして審査され、より「事業の目的」に合致していると判断される小規模事業者が選ばれることになります。そのため、公募要領を良く読み、事業の目的を理解しておくことが大切です。

 

 

専門家を活用


商工会、商工会議所からの指導・助言を受けても、経営計画書の作成は簡単とは言えません。特に、経営計画書の作成になれていない「小規模事業化者」には、かなり大変な取り組みとなるでしょう。さらに、こういった取り組みを、1ヶ月程度の期間で実施するのは簡単ではありません。

 

経営計画の作成を助言・指導、サポートしてくれる専門家もいますので、必要に応じて依頼するのも良いでしょう。以下は、国家資格である「中小企業診断士」が、経営計画の作成をサポートしてくれるサービスです。補助金の申請額にもよりますが、数万円程度の費用でサポートしてもらうことができ、採択率を高めることが期待できます。

 

<@コンサルティングへの相談>

 

 

補助金は後払い


小規模事業持続化補助金の交付は、経営計画に基づく取り組みを行った後、報告を行ってから交付されるという流れになります。そのため、小規模事業者が先行して、補助金の対象なとなる経費の全額を支払う必要があります。

 

自己資金が不足する事業者にとっては、この対象経費の立替負担も簡単ではないでしょう。小規模事業者が資金調達しやすい方法として、ビジネスローンや、ファクタリングといった方法があります。資金調達が必要な方は、是非、参考にされてみて下さい。

 

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まとめ


平成29年度の「小規模事業者持続化補助金」の募集が開始しています。

小規模事業持続化補助金は、対象となる中小企業、個人事業主に是非、積極的に活用してもらいたい補助金です。補助金を有効活用すれば、「返済義務の無い補助金」として、無償で事業に使えるお金を得られますので、メリットの多い制度と言えます。

 

しかし、小規模事業持続化補助金を始め、補助金は申請すればだれでも受けられるものではなく、厳しい競争に勝たなくてはいけません。そのためのポイントを説明しましたので、是非、参考にしていただければ幸いです。

 

 

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