バランスの良い事業資金の借入額とは?資金繰りを安定させる基礎

事業資金借入
Pocket
LinkedIn にシェア
LINEで送る
このエントリーを Google ブックマーク に追加

中小企業を経営されている方や個人事業主にとって、銀行からの融資は非常に重要です。

安定的に銀行から借入できるかどうかは、事業を継続していくための生命線にもなります。

しかし、銀行からの借入はたくさん借入できれば良い訳ではなく、バランスが重要です。借入が多くなりすぎると、それ自体が銀行からの融資を受けられなくなる原因にもなります。

経営者や、個人事業主が知っておいた方が良い「借入のバランス」、「適正水準」についてご紹介します。

 

 

過剰借入はバランスが悪い!?


借入が増え過ぎてしまうと会社にとってはむしろ良くないことがあります。

中小企業経営者や、個人事業主の中には、銀行から「たくさん借入できる」ことを重視し過ぎて、「どのように借入する」のかを軽視してしまうことがあります。

 

しかし、これは良くありません。借入にはバランスが必要です。

ただ、多く借入できれば良いというわけではありません。

 

第一に、借入すると返済が必要です。借入を返済できなくて、延滞してしまうと、会社の信用力は大幅に悪化し、その後の新規借入は出来なくなってしまいます。

過剰に借入してしまうと、その後の返済負担が重くなり過ぎてしまって、返済が出来なくなるということも起こり得ます。完全にバランスが崩れた状態です。

 

そのうえ、借入が増えれば、その分支払利息も増加してしまいます。

利息が多くなり過ぎてしまうと、その分、会社の利益を押し下げることになります。

利益が少なくなれば、その後の借入が難しくなってしまうだけでなく、会社に利益が残らなくなってしまうこともあり得ます。

 

 

バランスの良い借入とは?


経営する企業や、個人事業主などの状況に応じて、「適正な借入額」があります。

銀行融資などの借入を利用するにあたっては、適正水準を意識しておくことが大切です。

 

ここでは、それぞれの状況におうじて、バランスの良い、適正水準を判断するための方法について説明します。

 

 

売上高から測る方法


適正な借入額を測る1つ目の方法は、それぞれの事業の「規模感」から借入金の適正水準を測ろうとするものです。

会社の事業規模を示す指標としては「売上高」があげられます。売上高は、その事業が「どれだけの資金を得る能力があるのか」を示す数値になります。

また、売上高は明確で、解りやすい数値でもありますので、容易に用いることができるため、直感的に解りやすい指標になります。

「会社の数値が苦手」という経営者の方でも、ご自身の事業の売上高はしっかりと把握されているでしょう。

 

適正な借入額の水準を売上高から計算する指標として「借入月商比率」をご紹介します。

借入月商比率は、売上高の規模から、バランスの良い適正な借入金の水準を測る指標です。

実際の借入月商比率の計算式は以下となります。

 

[借入月商比率]

借入月商比率=借入残高÷月商

月商=年間売上高÷12ヶ月

 

借入月商比率は、「借入が月次の売上高の何倍あるか」を把握する指標になります。

業種や、資金使途にもよっても多少の前後はありますが、借入月商比率は、5ヶ月未満が望ましく、高くても8~9ヶ月程度に押さえておく必要があります。

 

旅館、ホテルや、工場設備などが必要になる事業だと、借入月商比率も高くなる傾向があります。

借入月商比率は、「売上高」という解りやすい数値を使うことから直感的に把握しやすい指標であり、簡単で、容易に用いることができるのがメリットです。

しかし、必ずしも売上高の規模と、返済能力を示す利益に相関関係があるわけでは無いため、簡易的な使用に留まり、次でご説明するもので、より詳細に把握する必要があります。

 

 

利益から考える適正水準


次に、売上高ではなく、利益から、バランスの良い適正な借入水準を測る指標をご紹介します。

売上高は事業規模を示しますが、必ずしも返済能力の大小を示すものではありません。

売上高が大きくても、赤字という会社もあります。

 

そのため、会社や個人事業主が、「返済能力」からバランスの良い適正借入額を考えるにあたっては、売上高を用いるのは望ましくありません。この時、使うのはCF(キャッシュフロー)と呼ばれるもので、実際が生み出す「現預金の規模」となります。

 

CF(キャッシュフロー)は「当期純利益(税金支払後に残る利益)+減価償却費(キャッシュアウトしない費用)」で計算します。全ての費用を支払った後に残る利益に、実際に現金を支払う必要の無い費用を足し戻した数値がCF(キャッシュフロー)となります。

 

 

債務償還年数


CF(キャッシュフロー)からバランスの良い適正借入水準を把握するための指標に、「債務償還年数」があります。

銀行などの金融機関は、企業の借入額の規模を判断する際に、債務償還年数を重視します。銀行は、貸した後に返済してもらえるかどうかが重要となりますので、「いくらまでの借入なら、会社として問題無く返済できるか」を基礎として融資するためです。

 

 

[計算方法]

債務償還年数=借入残高÷(当期純利益+減価償却費)で計算できます。

 

債務償還年数は、利益を原資として、10年以内に返済できるのが「借入額の適正な範囲」ということを前提とした指標です。以下で、具体的に債務償還年数を計算してみましょう。

 

[計算例]

当期純利益50、減価償却費30、借入金残高500 の場合を例として、債務償還年数を考えてみましょう。

この時、CF=50+30=80となります。

つまり、この事業は毎年、80の現預金を生み出す能力を持っています。

 

債務償還年数=500÷80 ≒ 6.3 < 10倍ですので、適正な範囲に収まっていると言えます。CF 80の事業ですので、債務償還年数が10倍となる借入額は、80×10倍=800となります。

 

なお、債務償還年数は、前述の通り、銀行にとって非常に重要な指標となりますので、しっかりと覚えておいた方が良いでしょう。銀行融資では、債務償還年数が10倍を超えると、新規の借入が出来なくなるだけでなく、借入する「企業の財務状況が悪い」と判断され、不良債権の予備群として扱われてしまう可能性があります。

 

▼三共サービス
  




資金運営でお悩みの経営者様へ
売掛金を早期現金化!連帯保証人、担保不要!

 

 

短期と長期のバランス


借入では、返済期間に応じたバランスも考えておく必要があります。

借入金は、その返済期間によって、短期と長期に分けることができます。そして、通常1年以内の返済期間のものを短期借入金、1年を超える返済期間の借入を長期借入金と呼びます。

 

<短期・長期の比較>

  短期借入金 長期借入金
金利 低い 高い
返済額 大きい 少ない
資金繰りへの影響 大きい 小さい

 

 

短期借入金と、長期借入金には、それぞれにメリット・デメリットなどの特徴がありますので、バランス良く使い分ける必要があります。

短期借入金の特徴は、いくら借入しても1年以内に返済する必要があるため、返済負担が大きく、資金繰りへの影響が大きいですが、「金利は低く」なります。

 

一方で、長期借入金は、借入した額を数年で返済するため、返済負担は低くなり、資金繰りも楽になります。一方で、短期借入金に比べれば、金利が高く設定されるため費用は高くなります。

 

資金繰りの安定を図るのか、資金調達のコストを重視するのかで、短期と長期の借入金のバランスを取る必要があります。そのために、短期借入金と、長期借入金の使い分けのポイントを説明しましょう。

 

 

短期借入は一時的な目的に使用


短期借入と、長期借入のバランスと取るにあたっては、利用する資金使途や、返済原資から考えるのが良いでしょう。

例えば、半期ごとの賞与資金や、納税資金、特定の売上を回収するまでのつなぎ資金(工事代金など)の借入が考えられます。

こういった資金は短期的な借入が望ましいでしょう。

例えば、半年毎に賞与を支払う会社の場合、賞与資金を長期借入で賄っていると、借入額が増加し続けてしまいます。賞与資金は半年毎に借入と完済を繰り返していくべき資金と言えます。

 

 

長期借入は投資に活用


一方で、不動産購入や、設備投資(工場設備など)など、投資後の効果(利益の増加)によって、返済するのが望ましく、さらに、効果が数年に渡って現れるものの場合、長期借入で賄うのが望ましいと考えられます。

つまり、「利益」として投資の効果が表れていくのに合わせて、返済を行っていくという考え方です。

 

こういった設備投資を短期借入金で賄ってしまうと、利益は現実化していないのに、借入金の返済義務が先に発生してしまい、資金繰りに窮してしまう可能性があります。

「そんなの当たり前」と思われる方は多いでしょうが、中小企業などでは、意外にこのバランスが崩れています。銀行の長期借入の審査に通らなかったため、やむを得ず、短期借入金の枠を使って、設備投資してしまったというケースは良く見られます。

 

 

運転資金も長期が望ましい


運転資金(回収と支払いの発生時期の差を埋める資金)も、出来れば長期資金で賄うのが理想です。

事業で利益が生まれていれば、少しずつ内部に利益を留保でき、借入への依存を減らしていくことができますが、内部留保には時間がかかります。数か月で返済を迎える短期的な借入(手形貸付など)で、運転資金を賄っていると、内部留保が出来る前に返済期日を迎えてしまいます。

 

銀行では、短期的な運転資金(手形貸付など)を、実際には回収せず、返済期限を迎える度に、延長を繰り返していくことがあります。

短期借入金ですが、実質的に長期化している借入金です。

しかし、契約上は短期借入金になるため、いつ銀行から「延長しない」と拒否されても、企業・個人事業主は文句を言えないということを理解しておく必要があります。

 

短期借入金を延長するかしないかは、銀行に決定権があります。そして、銀行の融資方針は頻繁に変わりますし、借入人の財務状況の悪化を理由として、継続を拒否することもあります。

経営者のなかには、銀行との取引の長さや、過去の取引実績を根拠として、自社は大丈夫と考えている方がいますが、非常に危険です。銀行は取引実績や、長さだけでは、融資をしてくれません。いつ延長できなくなっても良いように準備しておく必要があります。

 

 

現預金残高とのバランス


現預金と借入金のバランスも考えておきましょう。

現預金は日々の取引に対する運転資金になるだけでなく、借入金の返済原資ともなる、最も信頼できる資産です。

現預金を多く保有している会社や、事業主は、資金繰りに対する安全度が高いと言えます。事業では、資金繰り悪化すると、即倒産ともなり得ますので、以下に資金繰りの安全度を高めるかが非常に重要です。

 

短期借入金には、1年以内の返済期間で借入した額と、長期借入金のうち、1年以内に返済期限を迎える約定弁済の額が含まれます。簡単に言えば、1年以内に返済しないといけない借入金は全て短期借入金に含まれます。

 

この短期借入金などの返済期限のせまっている負債を、いかに余裕を持って返済できるかがポイントとなります。

 

短期的な資金繰りの安全度を示す指標に、「流動比率」があります。

流動比率は、銀行でも企業の「安全度」を測る指標として重視していますので、理解しておきましょう。

 

[計算方法]

流動比率=流動資産÷流動負債

 

流動比率は、短期(1年以内)に支払う必要のある負債を、(現金+1年以内に現金化できる資産)で賄えているかを示す指標です。

 

流動比率は、余裕も考えて、200%以上となることが理想とされ、最低でも100%以上であることが求められます。流動比率が100%未満の会社は、「いつ倒産してもおかしくない」と懸念されています。

企業経営者は、この流動比率が最低でも100%、できれば150%程度を維持できるように、現預金残高を調整しておく必要があります。

 

なお、流動比率を計算する場合、流動資産のなかの棚卸商品や、売掛金に含まれる「不良在庫」、「滞留債権」は除外して計算する必要があります。実際に現金化される見込みの無い資産や、現金化するまでに時間がかかる資産を含めて計算していては、正しい状況が把握できなくなります。

(銀行が企業を評価する際にも、同様に不良在庫、不良債権は除外した実態ベースで分析しています)

 

 

まとめ


中小企業や、個人事業主にとって、銀行融資などの資金調達は「生命線」ともなる重要な課題です。

計画性無く借入を利用していたり、行き当たりばったりで銀行と相談していては、そのうち借入出来なくなる時がくるかもしれません。

それぞれの企業や、事業主にとって、適正な、バランスの良い借入を念頭に入れて借入を利用する必要があります。その参考として活用いただければ嬉しく思います。

 

▼ビートレーディング


ビートレーディングのファクタリング
つなぎ資金の御相談はこちら

 

 

外部ランキング  

ローン・住宅ローンランキング
にほんブログ村 その他生活ブログ キャッシング・消費者金融へ
にほんブログ村

 

<関連記事>

 

 

MFクラウド会計のご案内
▼申込はこちら▼

 

Pocket
LinkedIn にシェア
LINEで送る
このエントリーを Google ブックマーク に追加

コメントはまだありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

事業資金借入
法人は融資を活用した方が良い?経営者が知っておきたい事業資金融資のメリット・デメリット

法人経営者や個人事業主など、事業を行っている方にとって「融資は活用した方が良い?」という悩みはつきも …

事業資金借入
信用保証協会を活用して借入する方法!!中小企業の強い味方を目一杯活用しましょう

中小企業が利用できる保証協会の制度について説明いたします

事業資金借入
会社の借入余力を知っていますか!?銀行員の審査で使っている計算方法を教えます!!

中小企業の経営者、事業主が自社の借入余力を把握できることは非常に重要です。銀行に聞いても教えてくれませんので、自社で計算できる方法を教えます。経営の安定度を高めるためにご活用ください。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。