家を買うならマンションよりも戸建て住宅が良いという方も多いでしょう。
自由度の高さや、広々とした住空間など戸建てにはメリットが多くあります。
そんな戸建てのなかでも、ご自身の理想的な住宅が実現できる「注文住宅」を希望する方が住宅ローンを利用する際に参考にして頂きたい情報です。
注文住宅を建築する場合、住宅ローンを利用するならマンションや建売住宅と異なる注意点があります。
注文住宅ならではの特徴を理解しておかないと住宅ローンの借入にも問題が起こり、結果的に借入できない事態も起こり得ますので注意が必要です。
注文住宅建築の流れ
マンションや建売住宅の購入と、注文住宅の建築には大きな違いがあります。
通常、マンションや建売住宅の場合、購入対象となる住宅が完成していることを前提に売買が行われます。
購入者は引き渡しと同時に購入代金を支払いますので、代金決済後にはすぐに住宅を利用することができます。
一方、注文住宅の場合はそうではありません。
注文住宅を建築する場合、ハウスメーカーと契約する時点ではまだ住宅は建設前であり存在していません。
さらに、ハウスメーカーによっては、契約時、建築途中、完成時などで建築代金を分割で支払うことを求めることもあります。
つまり、完成した住宅との引き換えではなく、先行して建築代金を支払うこともあるのです。
この違いを理解しておくことは、注文住宅と住宅ローンの関係を理解するうえでも非常に大切です。
以下、注文住宅の建設と住宅ローン利用の流れを解説します。重要ですので、完成までの流れの違いを良く理解しておいて下さい。
注文住宅建築の計画
注文住宅はどういった場所に、どのような建物を建設するのかなど全てを建築主が決定していく必要があります。
この点が建売住宅や、マンションとは異なります。
建売住宅や、マンションは既に建築されているものからご自身の希望にあったものを探して購入します。
一方、注文住宅は全てをご自身の希望に合わせて作り上げていくことになります。
そのためには、ハウスメーカーなどに直接相談して、希望にあった住宅を設計してもらい、建築するための計画作りをご自身が主導して行っていくのが特徴です。
土地売買契約
依頼するハウスメーカー選びや、建築する住宅や、資金計画のイメージが出来上がれば次に建築するための土地を購入します。
土地はご自身で探して購入しておく場合と、住宅建築を依頼するハウスメーカーに探してもらう場合があります。
土地の購入代金を自己資金で全額用意できる場合は良いのですが、十分な自己資金が無い場合には、土地購入に対しても住宅ローンを利用する必要があります。
その場合、ハウスメーカーに依頼する工事請負契約を含め、注文住宅全体の建築計画を用意したうえで銀行に相談する必要があります。
住宅ローン相談・仮審査
土地に対する売買契約を締結した後、住宅ローンを申込・契約することになります。
住宅ローン申込・審査では、土地だけでなく建物も含めた全体計画に対して相談・申込する必要がありますので、この時点で工事請負契約についても相談できている必要があります。
建築計画に対する概要をもって住宅ローンの事前相談を行い、事前審査に通過した後に、ハウスメーカーとの契約を行うことになります。
工事請負契約を締結
土地の売買契約締結後、住宅ローンの事前審査通過後には、ハウスメーカーと工事請負契約を締結します。
この段階で建築確認済証も取得します。
住宅ローン本審査・契約
工事請負契約を締結した後、住宅ローンの本申込・審査が行われ、審査に通過すると金銭消費貸借契約書を締結します。
住宅ローンの本申込には、建築確認済み証や、工事請負契約書原本が必要になるため、契約締結後でないと住宅ローンの本申込を行うことができません。
そのため、注文住宅においてはハウスメーカーとの手続きと住宅ローン(銀行)の手続きを少しづつそれぞれを進めていく必要があるのです。
注文住宅を建築する流れは以上の通りとなります。
注文住宅の場合、土地探しや、ハウスメーカーとの相談が段階的に行われ、実際の建築着工までに時間がかかるのが特徴です。
さらに、工事請負契約書を締結しても、その後完成までにも時間がかかります。
分割での支払いが必要
さらに、注文住宅の建築で注意しておきたいのは、代金支払いが分割で段階的に行われるということです。
土地購入に加えて、住宅建築費用に関しても「着工金」、「中間金」、完成後・引き渡しなどの「竣工金」などと、ハウスメーカーに対して数回に分けて代金が支払われるのが通常です。
そのうえ、住宅ローンを融資してもらう住宅ローンの担保設定の問題もあります。
マンションや、建売住宅の場合、銀行からの住宅ローン融資と同時に、購入する住宅に担保設定が行われるため銀行にとって担保保全上の問題はありません。
一方、注文住宅の場合、住宅が完成するまでに、土地代金や建物建築に関する費用の一部が支払われるうえ、その代金に対する住宅ローン融資が必要となることもあるでしょう。
建築中の建物には担保設定も出来ないうえ、そもそも、完成する前の建築中の建物には担保価値もありません。
そのため、銀行にとっては、土地に対する担保設定のみで、土地+建築中の「着工金」・「中間金」などの融資を行うと、担保評価額以上の融資が必要となってしまう可能性があるのです。
大部分の銀行は一時的とは言え、担保評価額以上の融資になることを嫌いますので、こういった完成前の建物に対する建築資金全部を融資してもらうのは難しいこともあります。
結果的に、注文住宅を建築する場合、住宅ローンを実行してもらうまでの費用を支払えるだけの自己資金が求められることがあります。
少なくとも、着工金や中間金については自己資金で対応するのが望ましいでしょう。
ハウスメーカーとの交渉で、極力、引き渡しまでの支払いを少なくするように交渉することも重要ですが、小規模のハウスメーカーだと資金力も低いため、着工金や中期金がないと、工事代金が不足するということもあり得ます。
銀行によって扱いが異なる
注文住宅の建築・引き渡しに関するスケジュールは前述の通り、ある程度固定化されています。
そのため、銀行によっては、着工金や、中間金などの支払いに対しても、柔軟に対応してもらえることもあります。
一方、担保評価額以上の融資は全く行わない、つまり、建物が完成するまでは、土地評価額以上の融資を行わないものとして、原則、着工金や中間金の支払いができない住宅ローンもあります。
そのため、注文住宅を建築する場合には、住宅ローンの支払いスケジュール、可否などを事前に良く銀行と相談して、ご自身の資金計画に対応できる銀行を探す必要があります。
つなぎ融資も検討
銀行から建物完成時・引き渡し時でないと、建物代金に関する住宅ローン融資が得られない場合には、自己資金が望ましいですが、つなぎ融資という選択肢もあります。
つなぎ融資というのは、建物の着工(着工金支払い)から、建物が完成して、引き渡し・住宅ローン実行までの期間の支払いについて、一時的に支払うための融資です。
最終的に住宅ローンが実行された段階で、着工金や中間金に対する代金充当も可能ですので、それまでの期間を充足するための融資であり、「つなぎ融資」と呼ばれています。
つなぎ融資は銀行のフリーローン(無担保で融資可能なもの)や、ノンバンクが提供しているつなぎ融資を利用することになります。
なお、つなぎ融資は原則、無担保での融資となりますので、住宅ローンに比べて金利が高くなってしまいます。
一時的な融資とは言え、金利負担が増加してしまうことには注意が必要です。
注文住宅の審査注意点
マンションや建売住宅の購入に比較して、注文住宅を建築する場合の住宅ローン審査には注意するべき点が多く存在します。
ここでは、銀行の住宅ローン審査に通過するためのポイントを確認しておきましょう。
返済負担率が重要
マンション、建売住宅、注文住宅に共通のポイントです。
銀行から住宅ローン融資を受ける場合、もっとも重要なのは返済負担率です。
返済負担率とは、年収に対する借入返済額の割合のことを意味します。
例えば、年収500万円の方が、毎年150万円の借入金返済(元利込)をする場合、返済負担率は30%になります(150万円÷年収500万円)。
この借入金返済額には、住宅ローンだけでなく、既存の借入金があれば、そちらへの返済額も含まれます。
一般的な銀行の基準として、返済負担率は30~35%程度が上限となります。
この返済負担率を越えてしまう借入は審査に通過しにくくなりますので注意が必要です。
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担保評価額に注意
銀行からの住宅ローンは、原則として担保評価額の範囲内でしか借入できません。
しかし、この「担保評価額」にも注意が必要です。
マンションや建売住宅の場合、近隣の不動産相場などに準じて販売価格が決められるため、銀行の担保評価額≒不動産購入価格となり、結果的に不動産購入価格相当の住宅ローンを借入することもできます。
一方、注文住宅の場合、オーダーメイドで建築することや、建築に用いる材料費なども高くなることが多く、結果的に同じ面積の建売住宅などの購入金額に比べて、注文住宅の価格は高額になってしまうことが多くなります。
銀行の担保評価では、こういった注文住宅に特有の価格上昇を「価値」として評価されません。
そのため、担保評価額に対して、建築費が高額となってしまい、建築費の総額を住宅ローンで借入することが難しくなります。
もちろん個別差はありますが、注文住宅を住宅ローンで借入する場合、住宅ローンで借入できるのは物件価格の7~9割程度となることが多いでしょう。
そして、住宅ローンで借入できない不足額は自己資金で用意する必要があります。
注文住宅の建築には、自己資金が多く必要となってしまうことに注意しましょう。
既存借入を完済する
前述の通り、銀行の住宅ローン審査では返済負担率を重要視します。
そして、この時、既存の無担保借入(カードローンや、マイカーローンなど)があれば、そちらへの返済額を控除したうえで、住宅ローンへの返済可能額が計算されます。
しかし、無担保借入は金利が高いうえ、住宅ローンに比べて借入期間が短いため、同じ金額で比較すると、年間の返済額は住宅ローンよりも大きくなってしまいます。
そのため、残存する既存借入金額よりも、そのために減少する住宅ローンの借入金額が大きくなってしまう傾向にあります。
金利や返済負担額から考慮すれば、無担保借入を返済してでも、住宅ローンの借入額を増やした方がお得と言えるでしょう。
但し、無担保借入を完済したからと言って、必ずしも住宅ローンに通過するとは限りません。
住宅ローン審査に落ちてしまうことも念頭に置いたうえで、借入を返済する必要があります。
注文住宅におすすめの住宅ローン
注文住宅の建築時に利用がおすすめの住宅ローンをご紹介します。
注文住宅は高額になりやすく、金利が低いことが重要ですが、資金計画や、融資の実行スケジュールなど、柔軟に相談しやすいことが大切です。
三菱UFJ銀行(ネット受付専用)
三菱UFJ銀行のネット受付専用住宅ローンは金利の低さと、丁寧な説明・充実のサービスで人気の高い住宅ローンです。
おすすめ度:SS
三菱UFJ銀行のネット受付専用住宅ローンの特徴は金利が低いことです。
通常の三菱UFJ銀行の住宅ローンでも13年連続、国内で取扱い額が1場合多い住宅ローン、つまり日本で一番人気のある住宅ローンなのですが、ネット受付専用住宅ローンはさらに金利が低いというお得さがあります。
2021年3月現在、3年固定金利で0.39%、10年固定金利で0.59%というのは、住宅ローン業界全体のなかでもトップクラスに低い金利水準と言えます。
☆三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローン
☆13年連続で日本で最も利用されている住宅ローン
☆変動金利 0.475%(2022年1月現在)
☆3年固定金利 0.34%、10年固定金利0.74%(2021年4月現在)
☆申込手続きなどはネットで完結
☆7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus>も利用できます
借入可能額(最大) | 1億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利 0.475%、3年固定金利 0.39%、10年固定金利0.74%(2022年1月現在) |
その他優遇など | 7大疾病保障付き住宅ローン ビッグ&セブン<Plus> |
三菱UFJ銀行住宅ローンの商品概要とメリット・デメリット、口コミ・評判など
au住宅ローン(じぶん銀行)
*2020年6月現在のau住宅ローンの金利
じぶん銀行とは三菱UFJ銀行とauを運営するKDDIが共同で設立したネット銀行です。
新興のネット銀行ならではの低金利とお得な団体信用生命保険の制度が魅力です。
もちろん、auユーザー以外の一般の方もau住宅ローンを利用できます。
2021年3月現在、変動金利は0.410%、10年固定金利でも0.525%で借入可能です。
☆じぶん銀行のau住宅ローン
☆業界最低水準の住宅ローン金利
☆がん50%保障団信が無料で利用可能
☆auユーザー以外の方でもお申込みできます
*じぶん銀行は三菱UFJ銀行とauの共同設立のネット銀行
借入可能額(最大) | 2億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利 0.31%、10年固定金利 0.465%(2022年1月時点・au金利優遇割適用時) |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 一般団信・がん50%保障団信の保険料が無料、一部繰上返済手数料が無料 |
- 変動金利・10年固定金利は業界最安水準
- 50%がん保障特約付き団信が無料で利用可能
- 保証料・繰り上げ返済手数料などが無料
住信SBIネット銀行
おすすめ度:S
住信SBIネット銀行の住宅ローンもおすすめです。
住信SBIネット銀行は変動金利の低さが特徴の住宅ローンです。
さらに、全疾病保障付団信に無料で加入できるという特典も付加されているのが特徴です。
そのため、万一の死亡だけでなく、病気やケガが原因で就業できなくなった場合の住宅ローン返済を保険がカバーしてくれます。
★住信SBIネット銀行の住宅ローン
★業界トップクラスの低金利
★新規購入時の通期変動金利は0.32%(2023年5月現在)
★全疾病保障保険の特約を無料で利用できる
借入可能額(最大) | 1億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利0.32%(借り換え時 0.299%) ※所定の条件を満たした場合の通期変動金利となります※掲載金利は最大金利引下げ幅時の適用金利です。審査結果によっては、表示金利に年0.1%上乗せとなる場合があります。 |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 全疾病保障特約を無料で付加、一部繰上げ返済手数料無料 |
また、住信SBIネット銀行の住宅ローンを対面相談で利用することも可能です。
本来、住信SBIネット銀行はネット専業銀行であり、有人店舗の無い銀行になります。
しかし、住信SBIネット銀行では、対面相談を希望される方のために、相談窓口として「SBIマネープラザ」を設けているのです。
SBIマネープラザでは「MR.住宅ローンREAL」として、住信SBIネット銀行の住宅ローンと同条件の住宅ローンを、店頭受付、対面相談で取り扱っています。
なお、SBIマネープラザでの相談は事前予約が必須です。店舗数も少ないため、以下から早めに予約しましょう。
★SBIマネープラザの住宅ローンサービス
★完全予約制ですのでまずはご予約ください
★ネット銀行の低金利を対面相談で利用可能
住信SBIネット銀行と同水準の低金利
全疾病保障特約を無料で利用できる
借入可能額(最大) | 2億円 |
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適用金利・手数料など | 変動金利 0.41%、10年固定金利 0.53% (2021年7月時点) |
所要時間 | 申込から融資実行まで1ヶ月程度 |
その他優遇など | 団信・全疾病保障付(金利上乗せなし) |
まとめ
注文住宅はマンションや建売住宅などと、住宅ローンの利用方法が異なります。
先に土地を購入したり、建物を建築する過程で、完成前に代金の一部を支払うなど、注文住宅ならではの取り扱いに注意がする必要があります。
相談する銀行選びや、銀行と相談して確認しておきたいポイント、そして自己資金として準備するべき金額など、検討しておくべきポイントはたくさんあります。
今回ご紹介した注文住宅を建築するための住宅ローンの活用方法をご参考に、是非、住宅建築を成功させてください。
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