住宅ローンの借入可能額は、銀行の住宅ローン審査で決定されますので、最終的には銀行に相談して借入申込しないと判明しません。しかし、ある程度の概算であれば、ご自分でも住宅ローンの借入可能額を計算できるのをご存知でしょうか。計算方法を覚えておけば、銀行に申込する前に、借入可能額を確認して、住宅選びがしやすくなります。
重要なポイントは「年収倍率」と「返済負担率」にあります。この2つを理解すれば誰でも計算できるようになります。銀行の住宅ローン審査で実際にしている住宅ローンの借入可能額の計算方法を解説いたします。
借入可能額に影響する要素
まずは、住宅ローンの借入可能額を左右する要素をご紹介いたします。
後程ご紹介する、銀行員が審査において住宅ローンの借入可能額を計算する方法に使用する要素や根拠になります。住宅ローンの借入可能額を計算するためには、事前にこの要素を集めておく必要があります。
①現在の年収
住宅ローンの借入可能額を左右するもっとも重要な要素は年収です。年収だけで借入可能額が決まるわけではありませんが、住宅ローンの借入可能額を計算するうえで、年収は審査に最も大きな影響を与える重要な要素となります。もちろん、年収は大きければ、大きいほど、良い材料となり、住宅ローンの借入可能額は増加することとなります。
②勤続年数
住宅ローンの借入可能額には勤続年数も長い方が有利です。
銀行の住宅ローン審査における「勤続年数」とは、現在の就業先に対する勤続年数を意味します。就業を続けている方でも、「転職」すると勤続年数は「0」にリセットされてしまいます。そのため、住宅ローンの借入を予定しているなら、実際の借入が完了するまで転職は避けた方が良いことになります。
なお、勤務先の都合で「出向」したり、「転籍」、もしくは会社が組織再編によって別の会社になるといったケースでは勤続年数はリセットされません。但し、誤解されないために、そのことを銀行員に伝えておく必要はあります。
勤続年数の短い、長いは、借入可能額を左右する要素というよりも、そもそも、住宅ローンを借入できる、出来ない、を左右する要素となります。つまり、勤続年数が短いと、そもそも住宅ローン審査に通らないということもあります。
また、勤続年数宇が3年以上というのは難しくても1年以上は欲しいところです。本当に住宅ローンを借りたいと思うなら、住宅ローンを借りるまでの期間は、転職せずに、現在の職場で勤務を続けておくことが望ましいでしょう。もし、勤続年数が1年未満で住宅ローンの借入を希望されている方は、こちらの関連記事でポイントをご確認ください。
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なお、転職して、勤続年数の期間が短くても住宅ローン審査に通る稀な方も実は存在します。
それは、転職して年収が増加する方です。年収が増加する転職は、キャリアアップとして銀行内部でも説明がつくため、審査に通る可能性があります。
住宅ローン審査でネガティブな印象を持たれる転職とは、「継続する力がない」とか、「就業が安定しない」ような後ろ向きな原因が主となります。しかし、通常、転職してすぐは賞与が下がってしまったり、試用期間があったりで、年収は下がってしまう可能性が高くなるので注意してください。
③既存借入額
住宅ローンの借入可能額は「いくら返済できるか」の能力(返済負担率)から計算するのですが、そこから、既に借入している額があれば、そちらを控除した残りが、今の借入可能額ということになります。既存借入が多いことは住宅ローンにおいては不利に働きます。
住宅ローンの借入可能額=借入希望者の返済できる金額ー既存の借入額
さらに、既存借入が多すぎる場合、そもそもとして「信用力が低い」と判断されて、借入自体が不可となることもあります。カードローンの利用があっても住宅ローンの借入は可能ですが、件数が2~3件を超えていると審査に不利になると考えておいた方が良いでしょう。
通常、住宅ローン金利の方が、無担保借入に比べて、大幅に有利です。できれば、無担保借入は完済し、住宅ローンで大きな金額を借りれるように取り組むほうが得になります。
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④自己資金
銀行としては、後述する返済負担率、年収倍率から、貸し出せる住宅ローン金額の上限を計算することになります。しかし、それとは別に、本当に貸してよいのかを検討しています。つまり、銀行内部の審査では、貸したは良いが、返せなくなった時の心配をしています。
自己資金は多く準備されている方が、銀行としては安全に貸し出せることになるため、審査に通しやすく貸出は行いやすくなります。
例として、5,000万円の住宅を購入するケースを考えます。全額住宅ローンで借入していると、借入残高も5,000万円です。そして、1年後、住宅ローンの返済が難しくなってしまい、住宅を売却することを考えてみましょう。なお、住宅の売却時には、1年が経過したことで、約定弁済が進み借入残高が100万円減少しているとして、さらに住宅の売却価格は4,500万円になると考えます。
この時、住宅の売却代金を全額、住宅ローンの返済に充当するとしても、銀行は、4,500万円の売買代金の回収になります。これでは、住宅ローン残高は4,900万円ありますので、400万円の残高が残ってしまいます。一方で、当初購入時に、自己資金を10%(500万円)支払って自宅を購入していれば、住宅ローンの当初借入額は4,500万円となります。
この場合、自己資金がある場合には、1年後の借入残高は4,400万円となりますので、売却代金で住宅ローンの残債を全額支払うことができます。つまり、その分、銀行にとっては自己資金が多い方は貸し倒れのリスクが低くなりますので審査にも通しやすくなります。
銀行が自己資金を求める理由は、リスクの軽減です。
住宅ローンの返済負担率とは?
では、ここからは、銀行が住宅ローンとして、いくらまで貸しだすことができるのかを計算する方法をご紹介します。借入可能額を計算するうえで、もっとも重要なのは「返済負担率」です。
銀行内部の審査では、返済負担率と、先ほどの自己資金の状況で、住宅ローンの借入可能額を計算しています。返済負担率とは、年収に対する住宅ローンの年間返済額の割合です。
つまり、返済負担率とは年収に占める借入への年間返済額の割合を計算した結果です。
仮に、年収500万円の方が、年間100万円(≒月8.3万円)を借入の返済に充当するとなると、返済負担率は20%となります(100万円÷500万円×100%)。住宅ローンの審査で、基準となる返済負担率は、25~35%程度で、年収が400万円以下の方は25~30%、それ以上の方は30~35%で審査する銀行が多いようです。
また、返済負担率の計算では、年間返済額に、利息も含めて計算します。
借入可能額の計算例
それでは、実際に返済負担率を使用して借入可能額を計算する方法を紹介します。仮に年収500万円の方を例として、返済負担率を使用して、住宅ローンの借入可能額を計算してみます。
返済負担率の上限を30%とすると年収500万円の方の計算上の年間返済額上限は150万円(500万円×30%)になります。この年間返済可能額をもとにして、住宅ローンの借入可能額を逆算していくことになります。
なお、返済負担率をもとに借入可能額を計算するための金利は、実際に銀行で借入できる標準金利/基準金利(現在の変動金利で1%未満)ではなく、3~4%程度の審査用金利となります。民間銀行の住宅ローン審査では、将来的な金利上昇の可能性を加味して、高めの金利で計算するためです。
もしくは、フラット35などの超長期の固定金利型で住宅ローンを借りる場合には、将来においても金利が上昇する可能性が無いため、実際の適応金利で借入可能額を計算してもらえます。そのため、少しでも多くの金額を借り入れしたいという方には、フラット35などの長期固定金利型の商品が有利となります。
なお、3~4%の審査金利を前提として、年間返済額150万円となる住宅ローンの借入可能額を計算すると、2,800~3,300万円ということになります。
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適用金利・手数料など | 35年間固定金利 0.88%(2021年1月現在・保証型利用時) |
その他優遇など | 借入期間を通して固定金利 |
なお、年間の返済可能額や、金利から住宅ローンの借入可能額を計算するには、電卓やエクセルでは、かなり高度なスキルが必要です(元利均等返済の計算は非常に複雑です)。
しかし、銀行や、フラット35などの公式ホームページには、「住宅ローンの返済額シミュレーション」を用意しています。そういった計算用のシミュレーションを活用するのがお勧めです。今回は、三井住友銀行のシミュレーションを活用いたしました。

住宅ローンの年収倍率とは?
住宅ローンの借入可能額を計算する方法には、返済負担率以外に、もう1つ、「年収倍率」という考え方があります。返済負担率は銀行の審査で用いることの多い重要な考え方ですが、年収倍率は、「簡易」的に計算できる方法です。
銀行の審査方法とは異なりますので精緻な計算方法ではありませんが、年収倍率は簡単に計算できる「目安」になりますので、知っていると使い勝手の良い計算方法になります。つまり、誰でも簡単に借入可能額の目安として利用できるのです。
年収倍率とは年収の何倍まで住宅ローンを借入できるかという比率です。
例えば、先ほどの例で、年収500万円の方が、3,300万円を借入したとすれば、6.6倍(3,300万円÷500万円)ということになります。
不動産調査会社大手の東京カンテイが調査した結果によれば、2017年時点の年収倍率の全国平均は以下の通りとなっています。
<全国の年収倍率実績>
最高(東京都):13.26倍
最低(山口県):5.87倍
*新築マンション購入時
これは、そもそも東京都や、首都圏の方が不動産の価格が高くなることと、首都圏の方が、大企業が集中したり、企業の役員なども多く、年収の高い方も多くなるために借入額が多くなる傾向にあるためです。なお、年収倍率から計算すれば、東京都内で年収500万円の方は、3,950万円借入できることになります(全国平均7.81倍として)。
一方、東京都内であれば、同じ年収500万円の方でも、平均して6,630万円の住宅ローン借入をしていることになります(年収倍率13.26倍)。
返済負担率>年収倍率
なお、返済負担率と年収倍率という2種類の計算方法をご紹介いたしましたが、それぞれの計算方法は使い分けが重要です。
このとき、年収倍率は、あくまで簡易的に住宅ローンの借入可能額を計算する「参考値」として使用することが重要です。
銀行の住宅ローン審査においては年収倍率を使用しません。参考として、借入が少し多すぎるかな?という時に見る程度です。
実際に、銀行が審査で、住宅ローンの借入可能額を計算する際は、先ほどの返済負担率で計算することになりますので、正確に考えるためには返済負担率で計算するようにしましょう。
返済負担率の緩和
また、返済負担率は先ほど、25~35%という風に説明いたしましたが、こちらは年収が増加するにつれて、この基準を超えて借入できる可能も高くなります。
返済負担率が30%の場合、残りの70%は、社会保険料や税金と、その他の生活費に充当することを想定しています。しかし、税金や、社会保険料はともかく、給料が増加したからといって、食費などの、生活費が比例して増加する訳ではありません。年収が高い方が、1日に4食、5食も食事をするわけではありませんよね。
そのため、ある程度の年収(仮に700~800万円以上など)では、返済負担率を超える借入であっても、銀行の個別対応で、より多くの金額を貸してもらえることがあります。
但し、これはあくまでも、銀行の例外対応ですので、「やる気のある」銀行員とあたった場合や、銀行との相談において根気よく交渉する必要があります。
おすすめの住宅ローン
以上の通り、住宅ローンの借入可能額の計算方法を解説いたしました。ご自身の住宅ローンの借入可能額の目安を理解した後は、相談する銀行・住宅ローン選びも重要です。もちろん、住宅ローンの借入可能額は銀行毎の基準によっても異なります。
ここでは、住宅ローンの商品性が良く、これから検討される方に、是非検討対象に加えられることがおすすめの住宅ローンをご紹介します。
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適用金利・手数料など | 35年間固定金利 0.88%(2021年1月現在・保証型利用時) |
その他優遇など | 借入期間を通して固定金利 |
まとめ
住宅ローンの借入可能額は、ご自身でも簡易的に計算することができます。計算方法を知っておけば、購入する住宅選びにも、非常に役にたちます。
住宅ローンの借入可能額を計算するうえで、最も重要となる考え方は、「返済負担率」です。返済負担率は、銀行の住宅ローン審査でも使用しています。そして、返済負担率を計算するうえで、最も借入可能額に影響する要素は、「年収」です。年収をもとに、年間の返済可能額を計算して、逆算するのです。
返済負担率ほど面倒な計算を使用しないで、住宅ローンの借入可能額を計算するなら、「年収倍率」がおすすめです。年収倍率は、住宅ローン審査で使用する方法ではありませんが、大雑把な借入可能額を計算するうえで、解りやすい指標になります。
年収倍率では、年収の7~8倍程度が住宅ローンの借入可能額ということになります。
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