住宅ローンの支払いを滞納しているとどうなるの?自宅は売却される?

大丈夫なつもりでいた住宅ローンの返済も環境や状況の変化で苦しくなり、滞納してしまうことがあります。

勤務先の倒産・業況悪化や、給料の減少、リストラ、さらには家族が増えたり、子供の学費が増加するなど、払えなくなる要因は様々です

しかし、住宅ローンの支払いを延滞・滞納しているとどうなるか、理解していないと、想像以上に悲惨なことになるかもしれません

住宅ローンを滞納するとどうなるか、銀行が実際に行う「督促・回収手続き」や、それに対する「対応方法」など、住宅ローン滞納に関する疑問にお答えします。

 

住宅ローン滞納後の手続き

住宅ローンの滞納なんて、自分には関係の無いことと思っていませんか?

しかし、住宅ローンの返済が滞納に至ってしまう要因は様々です。

 

大手上場企業でも倒産する時代ですし、リストラされることだってあり得るでしょう。

子供が出来るなど、生活スタイルの変化もあり得ます。

 

住宅ローンを滞納していると、もちろん銀行から督促を受けることになります。

しかし、督促だけで済む訳では無く、時間の経過とともに、銀行の督促・催促などの回収手段は変化していきます。

そして、延滞を続けながら、まだ大丈夫だろうと考えていると「自宅の売却」、「差し押さえ」など、銀行の手続きは進んでしまいます。

 

住宅ローンの滞納・延滞期間毎に、銀行から行われる回収手続きを解説していきましょう。

なお、住宅ローンの滞納期間とは、滞納が蓄積している「返済回数」を意味します

例えば、3ヶ月分滞納していると3ヶ月ですが、その後、1ヶ月分の滞納額を支払うと2ヶ月に戻ります。

必ずしも、最初に住宅ローンの滞納を開始した時からの経過期間とは異なりますので、ご注意下さい。

 

初期:滞納12ヶ月

住宅ローンの滞納初期段階、滞納開始から12ヶ月目までです。

住宅ローンを滞納したままにしていると、銀行から督促・催促の電話がかかってきます。

しかし、住宅ローンの滞納初期段階、特に、約定弁済日から1週間以内の滞納では、すぐには連絡が来ないか、来ても、「入金するのを忘れていませんか?」といった、アナウンスの意味でかかってくることが多くなります。

 

住宅ローンの返済は長期間継続するものですので、どうしても「入金忘れ」、「ミスによる数日の遅れ」が発生することも多く、最初から「滞納」・「延滞」として扱われるわけではありません。そのため、優しい口調で連絡が来ます。

この時、滞納に対するお詫び・理由を説明(「忘れていました」など)をして、「〇〇までに入金します」と約束すれば、それで最初の督促の電話は終了することが多いようです

 

その期限を超えて、住宅ローンの滞納が継続していると、再度、銀行から督促の電話がかかってきます。

2回目の電話の際には、「入金忘れ・漏れ」の可能性から、「延滞・滞納」の可能性が高くなっていきますので、アナウンスよりも、催促の意味合いが強くなってくるでしょう。

こういった電話でのやりとりが、滞納の初期段階は続くのです。

 

住宅ローンを滞納していると起こること

初期:滞納23ヶ月

住宅ローンの滞納・延滞が解消されないまま滞納期間が23ヶ月に至ると電話による督促が継続なれながらも、次に「督促状」・「催告書」と呼ばれる手紙が自宅に送られてきます

 

銀行から送られてくる手紙には、以下のような内容が記載されます。

  • 住宅ローンの滞納が継続すると「期限の利益を喪失する可能性がある」
  • 手紙を受け取ってから、〇〇日後などまでに入金するよう依頼

この段階では、電話連絡だけでは滞納が解消されない方でも、文書で通知することで、督促の威力が強まることを狙っています。

延滞している方も、文書で「督促状」を見ると、慣れていない方には、かなりインパクトの強いものとなります。

 

中期:滞納34ヶ月

住宅ローンの滞納期間が3ヶ月を超えると、銀行の対応が大きく変わります。

銀行としても延滞分を回収するための明確な動きに入るのです。

多くの銀行は、住宅ローンの滞納期間が「3ヶ月」を超えるタイミングを1つの区切りにしています。

3ヶ月以内なら、銀行の支店担当者が督促しますが、3ヶ月を超えると、銀行内部の専門部署に移管されるところも多いのです。

先程とは、雰囲気・重みの違う手紙が自宅に送られてきます。

その手紙とは、「期限の利益喪失通知」と呼ばれるもので、配達記録・内容証明郵便といったもので、この手紙のなかには、「〇〇日までに滞納分が完済されなければ、期限の利益が喪失します」などと記載されるのです。

期限の利益喪失とは?

「期限の利益」とは、お金を借入した際に、支払期限まで返済しなくて良い権利のことです。

住宅ローンを35年間で借入した場合、毎月の約定弁済を除き、それ以外の元金は35年間返済を求められない権利を持っています。これが期限の利益です。

しかし、「住宅ローンの滞納」という契約違反を犯していると、銀行からの要求で、この期限の利益を取り上げることができます。

このことを「期限の利益の喪失」と言い、どの銀行であっても、住宅ローンの契約内容に記載されています。

 

期限の利益を喪失すると、延滞・滞納中となっている約定弁済分だけでなく、残元本全額に対して支払いを求められることになります。

つまり、住宅ローンの残元本の一括弁済を求められます。

とは言っても、数か月分の約定弁済でも支払えないのに、いくら催促されたからと言って、住宅ローンの残元本を一括で支払うなんてことはできませんよね。

それは銀行でも承知しています。

期限の利益を喪失させる意味は、以降で説明する通り、法的な回収を進めるためと、これまで滞納となっている約定弁済だけでなく、残元本全額に「延滞利息・遅延利息」を発生させるためです。

 

延滞利息・遅延利息とは?

住宅ローンを滞納している時に注意しておくべきこととして「延滞利息」があります。住宅ローンを滞納すると、通常の約定利率ではなく、約定利率よりも高額な遅延損害金が請求されます。

 

各銀行によって多少の違いはありますが、住宅ローンの遅延損害金は14%程度に設定されています

住宅ローンの変動金利は2.475%が基準(2021年3月現在)で、金利優遇を受けると、0.5%程度になることもあります。

つまり、借入時の金利と、遅延損害金を比べると、10%以上も金利が高くなってしまうのです。

 

期限の利益を喪失するまでは延滞している約定弁済分に対してだけ遅延損害金が発生しますが、期限の利益喪失後は、残元本全額に対して、遅延損害金利率が適用されます。

 

住宅ローンは借入額も大きく、仮に1,000万円の残高があるとすれば、14%の遅延損害金が適用されると、1年間で140万円の利息が発生することになります。

また、住宅ローンを借入していると、金利優遇を受けているという方も多いでしょうが、滞納していると金利優遇もなくなるのが通常です。

 

返済を滞納すると遅延利息、遅延損害金が発生する

 

中期:滞納45ヶ月

住宅ローンでは、期限の利益が喪失すると、次に「代位弁済」が行われます。

住宅ローンの多くは、銀行がお金を貸してくれますが、その仕組みとして「保証会社」と言われる会社から保証してもらっていることが多いのです。

 

住宅ローンを借入する時に、「保証料」を請求されている場合はこちらのケースに含まれます。

保証料を最初に一括で支払っていなくても、毎月の約定弁済に加えて、分割で支払っているケースもあります。

 

代位弁済とは、銀行に対して、連帯保証人である「保証会社」が、住宅ローンの滞納分を含め、延滞利息など残債務全額を債務者に代わって支払うことです。

つまり、銀行の住宅ローンは、代位弁済によって完済されたことになります。

 

しかし、住宅ローンが完済されたと喜んではいけません。借入人とって代位弁済によるメリットは特にありません。

もちろん、住宅ローンの借入が無くなった訳でもありません。

 

代位弁済後、住宅ローンは、銀行から保証会社に移ります。

つまり、借入している側からすれば、債権者が銀行から保証会社に代わっただけで契約内容や滞納の状況など、そのまま引き継がれています。

代位弁済によって、住宅ローンの返済を求められる相手が、銀行から保証会社に変更したにすぎません。

そして、代位弁済が行われたということは、延滞中の住宅ローンに対して、本格的な法的手続きが開始されることを意味します。

 

後期:滞納6ヶ月~

期限の利益喪失、保証会社による代位弁済が行われ、住宅ローンの滞納が6ヶ月を超えるといよいよ自宅が売却される可能性が出てきます

 

銀行(保証会社を含みます)によっては、この時に、滞納中の住宅ローンの返済方法について相談する機会を設けることもあります。

この段階で、銀行は「収入が増加する」、「親族などから資金援助が受けられる」など住宅ローンの滞納を解消するための解決策が無い限り、自宅の売却は避けられないと考えているでしょう。

そのため、借入人が自主的に自宅を売却する「任意売却」を勧められます。

 

自宅を売却するには、持ち主が自主的に売却する「任意売却」と、債権者が法的な手続きで強制的に売却する「競売」があります。

一般的には、「任意売却」の方が、売却金額が高く、要する時間や費用も少なくて済みます。そのため、銀行としては、任意売却をすすめます。

 

銀行からの売却の提案を拒否したうえ、住宅ローンの返済もできないとなると、保証会社は競売の手続きを始めることになります。

競売で安く自宅を売却されてしまうと、住宅ローンが完済されず、自宅売却後も残債を請求されることがあります。

 

裁判所から呼び出される?

住宅ローンの滞納が解消されないと、裁判所から呼び出しを受けることもあります。

その時、「一括請求通知」という訴状が裁判所から送られてきます。

 

一括請求通知とは、住宅ローンを貸している立場にある銀行や、保証会社が、借入人への請求を裁判所を通して行う法的手続き(貸金請求訴訟などと言われることもあります)です。

 

一括請求通知の訴状には、「答弁書」、「口頭弁論期日への呼び出し状」が添付されます。

住宅ローンを借入している人は、一括請求通知の内容に異議があれば、答弁書を提出する必要がありますが、「住宅ローンなんて借入していない」などの理由でも無い限り効果はありません。

「答弁書」は「払えない理由」ではなく、払えという請求に対して「払わなくて良い理由」があれば記載するものとなります。

そのため、「答弁できる」ことはあまり無いでしょう。

 

そのため、裁判においては、銀行や保証会社が問題無く、勝訴することになります。

貸金請求訴訟に勝訴したことで、「〇〇までに借金の全額を支払え」という「判決」が裁判所から出されます。

その期日を超えて、住宅ローンを完済できない時、銀行・保証会社は、裁判所からのお墨付き(債務名義と呼びます)を得て、差し押さえ、競売といった法的手続きを行うこともできるようになります。

 

滞納していると裁判所から呼び出されることがある

 

自宅の差し押さえ

債務名義を得たことで、銀行・保証会社は、自宅を差し押さえできるようになります。

差し押さえとは、裁判所を介して、借入人の資産をお金に換えて、住宅ローンの返済に強制的に充てる行為です。

持ち主である債務者が拒否することはできません。

 

住宅ローンでは、最初に、抵当権が設定されて担保になっている自宅に差し押さえが行われ、その後、競売にかけられます。

そのため、自宅に対して差し押さえが行われた時には、「競売」のための手続きが始まったことを意味します。

その後、「競売開始決定通知」が届くと、実際に競売が始まります。

 

競売とは?

競売とは、文字通り、強制的に、自宅を売却するための手続きです

競売が開始すると、その後の手続きは、裁判所によって進められていきます。

 

裁判所から人が派遣され、自宅に対する調査や、不動産評価が行われ、裁判所やインターネットを通じて一般に情報が公開されます。

それらの情報を見て、購入を希望する方は、競売に参加することとなります。

競売は、個別の売却交渉を行うわけではなく、期間を定めて入札手続きが行われます。

 

一般的な不動産の売却で行われるような「内覧」などは競売では行われません。

裁判所から派遣される方を除き、購入を希望する方が、直接、自宅に入ってくることはありません(外見を外から見に来ることはあるかもしれません)。

 

競売は早ければ、開始決定後、69ヶ月程度で売却が完了することもあります。

購入を希望する方が見つからなければ、手続きに時間がかかります。

自宅が売却されると、裁判所から、すぐに立ち退きを要求され、自宅から「追い出される」ことになります。

残念ながら拒否することはできません。

 

自宅以外にも差押え?

住宅ローンを滞納・延滞した時に、銀行・保証会社が取る手段は、住宅ローンの対象になっている住宅の売却です。

しかし、住宅を競売で売却しても、住宅ローンの残債を完済できないこともあります。

 

そのとき、住宅の売却だけでなく、別の資産に対しても差し押さえが行われることがあります。

最も可能性の高いものは、預金や、給料に対する差押えです。

 

預金であれば、口座に入っている残高の全部を回収に充てられてしまう可能性があります。

給料の差し押さえの場合、雇用主から支払われる給料の4分の1を上限として、給料支払い時に前もって差し引かれてしまうことになります。

 

住宅ローンの関連記事

 給料の差し押さえを回避する方法

 

銀行の回収は怖い?

住宅ローンを滞納した時に行われる、銀行の回収行為、督促といったものを説明してきました。

それに加えて、気になるのは、「銀行の督促、催促が怖い?」というものではないでしょうか。

よく、闇金からの借入をした時の回収が怖いという話や、TVなどがありますよね。

結論を言えば、銀行の回収は違法行為や脅しのようなことは行われませんのでほとんど怖くありません。

 

銀行からの催促・督促の連絡は多少文句を言ったり、正論で説得して支払わせようとはしますが、「脅し」と取られるようなことはしません。

むしろ、住宅ローンでは、「自宅」を担保にしていますので、そちらを売却して返済に充てるための準備を粛々と行っていくことになります。

 

住宅ローンを延滞した時の銀行の督促は怖い?

 

個人信用情報への影響は?

住宅ローンの滞納を続けると、個人信用情報に「延滞情報」として掲載されます。

個人信用情報とは、金融機関が相互に個人の借入状況を共有するサービスであり、個人信用情報に「延滞情報」が掲載されると新規の借入は出来なくなります。

また、借入だけでなく、クレジットカードや、保証会社を使用する不動産賃貸なども難しくなります。

これが良く言われるブラックリストと呼ばれる状態です。

 

実際に、個人信用情報に反映されるのは、延滞開始後、12ヶ月程度経過してからとなることが多く、延滞後、01ヶ月のうちに滞納を解消すれば、掲載されずに済む可能性が高くなります。

 

これは、銀行としても、借入人のミスや、うっかりで滞納してしまうケースも多いため、そういった「軽微」な原因による延滞・滞納まで、個人信用情報に掲載されてしまうと影響が大きくなってしまうため、一定期間は登録しないようにしているためです。

 

なお、一旦、個人信用情報に延滞履歴が掲載されてしまうと、その履歴は5年程度消えることなく残ってしまいます。

この延滞履歴があると、他社・他行での新規借入は出来なくなりますので、注意しておいた方が良いでしょう。

 

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 個人信用情報とは?開示請求方法まで解説

 

滞納時に相談するなら?

住宅ローンを滞納してしまいそうな時、どうしようもないからと、無断で滞納を開始してしまうのは良くありません

「滞納・延滞」で銀行に相談するのは気まずいことですし、出来れば、何も言わずに済ませたいでしょう。

さらに、銀行からの督促・催促の電話に出るのも気が重いことでしょう。

 

しかし、だからと言って、銀行を無視して連絡しない、連絡に出ないというのは「最悪」のケースに繋がります。

銀行の回収において、借入人が誠実に対応して、返済するための努力を行っていれば、ある程度の協力をしてもらえることがあります。

延滞利息も、請求されずに済むこともあります。

 

一方で、連絡してこない、連絡しても電話に出ないなど、不誠実な債務者に対しては厳しく取り立てを行うことになります。

住宅ローンの滞納が避けられない時には、とりあえず、銀行に連絡して、以降の返済方法に相談してみるのが良いでしょう。

 

専門家に相談する

住宅ローンを完済できる見込みがない時や、銀行に相談しても、返済方法の見直しなどに協力してもらえない時には、弁護士などの専門家に相談するのが良いでしょう。

住宅ローンを完済できる見込みが無い時には、「債務整理」や「任意売却」など、抜本的な解決方法を検討することもできます。

 

債務整理とは、そのままでは、住宅ローンなどの滞納を避けられず、負債を完済できる見込みが立たない方が、実際に支払える程度に負債を整理してもらうための手段です。

銀行に相談して依頼するだけでなく、裁判所を通して、法的な手続きとして行うことも可能です。

そのため、銀行に対しても「強制力」を持って、債務整理を行うことができるようになります。

 

債務整理を行うことで、住宅ローンの元本や、利息について支払うことができない部分を一部免除してもらえることもあります。

払えない住宅ローンの元本を、実際に払える可能性の高い金額まで減らすこともできます。

 

そのため、住宅ローンの滞納を解消できない時には、債務整理は有効な方法となり得ます。

しかし、債務整理は、個人が単独で行うことは困難です。

通常、法律の専門家である弁護士や、司法書士に相談して、協力してもらう必要があります。

 

任意整理を専門として、無料相談を受付している弁護士もいますので、相談されてみるのが良いでしょう。

 

▼ 無料相談を行っている弁護士例

アース法律事務所/債務整理・破産・個人再生・過払い金請求など
4.8

☆元裁判官の弁護士が借金問題を解決
☆初回相談無料
☆全国対応可能
☆個人再生、任意整理、自己破産、過払い金請求などに対応

 

アバンス法律事務所
4.5

☆債務整理ならアバンス法律事務所
☆過払い金請求に強い
☆相談はいつでも無料
☆自己資金不要
☆全国対応

 

365日、24時間相談可能です。無料相談可能です。

 

 債務整理とは?債務整理の概要から活用方法まで解説

 

任意売却した方が良い?

住宅ローンを払えなくなってしまって、その後、滞納分を解消する目途が立たなくても、住宅を守り続けたいと考える人は多いでしょう。

 

しかし、冷静に状況を整理して、滞納を解消することが難しいのであれば、諦める覚悟も必要です。

住宅ローンの滞納が解消できないと、いずれは「競売」によって、強制的に自宅を売却されてしまいます。

 

しかし、自宅を守ることに固執して時間をかけてしまうと、「遅延損害金」が多額に発生してしまい、自宅を売却しても住宅ローン・遅延損害金を完済できないどころか、多額に残債が残ってしまう可能性があります。

 

自宅を売却して、賃貸住宅などに引っ越すと、賃料を負担する必要も出てきます。

その中で、さらに残った住宅ローン債務の返済をするのは、大変なことです。住宅ローンの滞納が解消できないようなら、早めに任意売却に踏みきることも大切です。

 

任意売却の方が有利

さらに、自宅を売却するにあたっては、競売よりも任意売却の方が有利となることが多いのです。

有利というのは、売却できる金額が高くなったり、売却に至るまでの期間が短いため、その間の「遅延損害金」の発生を抑えることができたり、さらに、銀行や保証会社との交渉次第では、任意売却に協力することで、売却後に残る「遅延損害金」を免除してくれるケースもあります。

 

任意売却でも、競売でも売却価格は「変わらないのでは?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。

競売だと、購入希望者は裁判所が用意した資料でしか、対象の不動産を確認することができません。

 

通常の任意売却では、不動産の「内覧」を行って、不動産の状況を良く確認したうえで購入を決めますが競売ではそれができません。

そのうえ、競売に参加する方は不動産業者が多く、「仕入」として購入します。

不動産業者は、その後、最終利用者である個人に売却しますので、仕入値として安く購入する必要があります。

任意売却の場合は、最終利用者である個人に、直接売却することが主となりますので、高く売れる可能性が高いのです。

 

▼ まずは自宅の価値を確認するのが大切です

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任意売却は銀行と良く相談

銀行から任意売却を促される前に、先に任意売却を決断することもあります。

今後、住宅ローンを完済できる見込みが立たないので、早めに決断する場合などです。

この時、任意売却によって、住宅ローンの残債を全額返済できるか、出来ないかで方法は大きく異なります。

 

①全額返済できる

任意売却を進めて、条件が固まってから銀行に報告すれば良いでしょう。

銀行は、任意売却によって全額返済してもらえるので、「拒否」する必要がなく、売却に協力してくれます。

 

通常、銀行に対して、任意売却を連絡してから、実際に売却するためには、2週間程度の時間が必要となりますので、その程度の余裕を見て、銀行に連絡するようにしましょう。

 

②全額返済できない

早めの段階から銀行に相談する必要があります。

全額返済できないと、銀行は住宅の売却を許可してくれないことがあります。

自宅には、銀行が設定している抵当権があり、こちらを抹消できないと、不動産を売却することは難しいのです。

そのため、任意売却に関して銀行と事前に相談する必要があります。

 

相談するポイントは以下の点です。

  • 住宅ローンを払えない、滞納を解消できる見込みが無い
  • そのため、任意売却が必要
  • 任意売却後に残る住宅ローンの残債の返済方法

 

特に、3つ目の残債の返済方法が重要となります。

例え、12万円/月といった金額でも、支払っていく意思を見せることが、任意売却へ協力してもらうには大切になります

なお、その際には、以後の遅延損害金を免除してもらえるように依頼することも大切です。

 

 住宅ローンの残債があっても自宅を売却できる交渉方法

 

自己破産するとどうなる?

前述した債務整理の一部として、自己破産があります。

自己破産は、もっとも抜本的な解決を図るための法的な債務整理です。

自己破産すれば借金はほぼ全て無くなります。

 

自己破産すると、その時点で債務者が保有している資産を、原則全て現金に換えます(一部、少額の預金などは保護されます)。

 

そして、その現金から返済できる範囲で、住宅ローンなどの借入に返済します。

返済出来ずに残ってしまう「残債務」は免除してもらうことができますので、自己破産後に住宅ローンは残りません。

しかし、注意も必要です。

 

自己破産では、資産を全て現金に換えますので、当然、住宅も売却することになります。

自己破産後に自宅を残すということはできません。

そのうえ、住宅だけでなく、それ以外に保有する資産も、売却の対象になります。

自己破産は裁判所を通じて行う債務整理であるため、「資産を隠す」ことはできませんし、資産を隠していると、自己破産後に債務を免除してもらえなくなります。

 

一方で、自己破産後に受け取る給料には請求が及びませんので、それ以降の生活を守りやすいというメリットもあります。

自己破産に関しても、弁護士に相談する必要がありますので、まずは無料相談から、ご自身に破産が適するかどうかを確認するのが良いでしょう。

 

連帯保証人に注意

通常、住宅ローンを借入する時に、個人の連帯保証人は不要です。

しかし、申込人単独で住宅ローンを借入出来なかった時に、配偶者や、親などを連帯保証人に加えて、住宅ローンを借入することがあります。

 

連帯保証人がいる場合は、自己破産などの債務整理を行うのに注意が必要です。

自己破産で、借入人が住宅ローンの滞納分や、残債を免除してもらったとしてもそれはあくまで借入人だけの話です。

借入人が債務整理によって住宅ローンを免除してもらっても、連帯保証人には支払う義務が残ります。

 

そのため、債務整理後は、住宅ローンの残債務に関して連帯保証人に請求されることになります。

連帯保証人も支払えないのであれば、自身で自己破産などを行う必要があります。

 

住宅ローンの返済を滞納すると連帯保証人にも影響がでる 

 

離婚後の住宅ローンはどうなる?

住宅ローンの滞納が起こす代表的なトラブルに「離婚」があります。

 

良くあるケースを例として、離婚後の住宅ローントラブルを見てみましょう。

例)夫が住宅ローンを借入して自宅購入。

その後、離婚。財産分与のつもりで、購入した自宅には、元奥さんが住むこととして、住宅ローンは、元夫が返済を継続することとした。

 

離婚原因が元夫にある時などに、こういったケースは良く見られます。

財産分与で渡せる資産も多くなく、慰謝料の意味も込めて、元奥さんが住む自宅の住宅ローンを離婚後も支払い続けることにするのです。

その時に、自宅の名義を元夫から、元奥さんに変えてしまうこともあります。

 

こういったケースで離婚後の住宅ローンの滞納によるトラブルは多く見られます。

元夫の立場として、離婚直後は良いですが、そのうち住宅ローンの返済を続けるのは嫌になりますよね。

ご自身の住居費用もかかるうえに、自分が住む家ではないのに住宅ローンだけ払い続けるのは大変です。

元夫が再婚して新しい家族が増えることもあります。

そのうえ、離婚原因への反省も時間の経過とともに薄れて、損しているような気にもなります。

 

そうすると、元夫が住宅ローンを払うことを辞め、滞納してしまうことがあります。

 

元夫が滞納するとどうなる?

住宅ローンが滞納され続けると、当然、自宅は銀行・保証会社によって、競売で売却されてしまいます。

この時、その自宅に住んでいるのが、誰であろうと、自宅の名義が元夫から、元奥さんに代わっていようが関係ありません。

住宅ローンを借入した時に、自宅に対して抵当権が設定されています。

抵当権が設定された後に行った名義変更などは、銀行にとって関係ありません。

 

そして、自宅が売却されると、居住している元奥さんも、強制的に退去させられてしまいます。

元夫との間で、約束違反に関してクレームを言うことは出来るでしょうが、それによって、住宅ローンの滞納や、自宅の売却を止めるということはできません。

 

離婚の際に、「財産分与」のつもりで住宅ローンが残る自宅に住み続け、相手が住宅ローンを払い続けるという約束には注意が必要です。

なお、離婚後の住宅・住宅ローン対策を得意とする弁護士事務所としては以下があげられます。

離婚・住宅ローン対策センターで離婚後のお悩み解決




 

フラット35を滞納するとどうなる?

住宅ローンは民間銀行が行うものだけではありません。

住宅金融支援機構(旧金融公庫)が融資する住宅ローンに「フラット35」というものがあります。

聞いたことのある方もいるでしょうが、「長期固定金利」を、低金利で借入できる住宅ローンとして人気のある商品です。

 

住宅金融支援機構は独立行政法人です。そのためフラット35は、民間銀行ではなく、公的な機関が貸しだす住宅ローンになります(銀行窓口で取り扱っているフラット35は、受付を代理を行っています)。

 

住宅金融支援機構のフラット35を滞納した場合の督促などは、民間銀行とどう違うのでしょうか。民間銀行との違いについて解説していきましょう。

 

フラット35の督促は甘い?

住宅金融支援機構の督促、催促の特徴は、民間銀行に比べて、「無理を要求せず」、「協力的」というところでしょう。

住宅金融支援機構は公的な機関です。

公的には、債務者保護の意識が強いため、過度の督促・催促を行うことはしないようです。

但し、そうは言っても、住宅ローンを滞納しているわけですから、支払わなくて良いわけはありません。

 

そのため、住宅ローンを滞納してから自宅を売却するまで、前述の民間銀行が行う督促の流れは同様に行われます。

そのなかで、無理に返済を強いるような督促は行われず、粛々と手続きが進められていくことになります。

 

具体的な違いを一覧にすると以下のようになります。

  1. 督促は威圧的ではない
  2. 返済方法の変更(いわゆるリスケ)に応じてくれやすい
  3. 保証会社が存在しない(代位弁済が無く債権者が変わらない)
  4. 競売開始後は任意売却に応じてもらいにくい
  5. 期限の利益喪失後、民間の債権回収会社に委託
  6. 債務免除・債権放棄は認めてもらえない

 

公的な機関である、住宅金融支援機構の督促・催促でもあり、債務者保護の観点は強く持っているようです。

そのため、フラット35のほうが返済方法の変更(リスケと言われる元本返済額の減少など)や、任意売却に関する交渉には、前向き・積極的に応じてもらえます。

 

住宅ローンを滞納していると、住宅金融支援機構からも返済方法の見直しや、任意売却に関する情報提供が行われます。

 

住宅金融支援機構も競売はある?

前述のような返済方法の見直しや、任意売却によって、住宅ローンの滞納を解消できずにいると民間銀行と同様に競売に至ることがあります。

 

住宅ローンの滞納開始後、6ヶ月程度で「期限の利益喪失通知」が発送され全額返済を求められます。

その後、自宅に対しては、競売が申立されて、最終的には売却されてしまいます。

 

住宅金融支援機構は、民間銀行に比べて、督促・催促は「甘い」と感じることも多いでしょうが、住宅ローンを滞納していると、競売にかけられてしまうことは同じです。

 

さらに、一旦競売にかけられてしまうと、その後、任意売却の相談をしても応じてもらえない可能性が高いようです。

競売が開始するまで、積極的に任意売却を進めてくれるけど、一度競売が開始されると、競売を止めてくれるということは無いようです。

 

残債に対する返済が必要

民間銀行の場合、住宅を売却した後に残る住宅ローンの残債には交渉の余地があります。

任意売却へ積極的に協力する場合など、一部免除してもらえるなどの対応が行われます。

 

しかし、住宅金融支援機構の場合、こういった債務免除などは行われません。

公的な機関であるため、債務免除・債権放棄などを簡単に行うことは出来ないのです。

そのため、任意売却や、競売後も、住宅ローンに残債が残れば、継続して請求されることになります。

但し、前述の通り、住宅金融支援機構の返済交渉は「協力的」な立場から行われます。

 

その時点の収支状況などの説明を求められたうえで、可能な範囲での返済を要請されることになります。

 

フラット35の返済を滞納するとどうなるか?

 

住宅ローンを滞納しないためには?

住宅ローンの滞納は避けたいものです。

銀行からの督促・催促を受けるのも嫌なものですし、自宅を競売で売却されてしまうのも辛いものです。

自宅を購入するには、かなりの費用もかかりますが、それらも無駄になってしまいます。

何より、借金の返済に関する相談を長く行うことは、ストレスにもなります。

 

住宅ローンが滞納に至らないようにするために、最も大切なことは、借入前の計画でしょう。

住宅ローンを借入する時に、「いくらまで借入ができる?」という観点だけで考えている方は注意が必要です。

住宅ローンを借入する時には、「いくらまで返済が可能か?」の観点が大切です。

 

いくら返済ができるかを考えるうえでは、以下のような点も考えておく必要があります。

<考えておくポイント>

  1. ライフプラン(子供が生まれる、配偶者は共働きを続ける?)
  2. 転職による収入減
  3. ステップ返済
  4. ボーナス返済への依存
  5. 金利上昇
  6. 何歳まで働けるか(定年退職など)
  7. 退職金はあるのか

 

ライフプランの変化や、定年退職後の収入減少による滞納が多く見られます。

これらの延滞要因は、住宅ローンの借入前に、ご自身の将来計画を良く考えておくことで避けられる要因です。

住宅ローンの滞納に至らないようにするには、これらの観点から、ご自身の将来計画を良く考えて、借入して良い金額を考えましょう。

 

 住宅ローン借入可能額を計算する方法

 

まとめ

住宅ローンを借入する時の将来計画に無理があったり、先々のことを考えずに、「いくら借入できる」の観点だけで住宅ローンを借入するのは危険です。

 

住宅ローンが滞納に至ってしまった時に、その後、銀行からどういった手続きが行われるかを知っておくのは良いことです。

収支を改善させて、滞納を解消させるにしても自宅を売却して住宅ローンを完済するにしても、準備を行いやすくなります。

 

住宅ローンの滞納がどうしても解消できず、完済できる目途が立たない時には、債務整理という手段もあります。

債務整理には、弁護士などの専門家からの支援を受けることが大切です。無料相談も可能ですので、相談してみるのが良いでしょう。

 

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